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〇異世界 山(朝)

向き合っているジェンとナーガ

ナーガ「やみか?」

地面に倒れるジェン

ナーガ「?」

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〇真っ白な空間

周囲を見回すジェン

ジェン「あの神はいないのか?」

リリー「用事でいないよ」

ジェン「あいつを破滅させるための条件は?」

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リリー「ナーガに一太刀あびせること」

ジェン「剣なんて持ってないぞ」

リリー「大丈夫。剣はジェンの手元に現れるから」

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〇異世界 山(朝)

ナーガ、倒れているジェンを見ている

倒れているジェンの姿が消える

ナーガ「!」

光り輝きながらジェンが現れる

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ジェンの姿を見るナーガと聖兵士A

ナーガ「なっ・・・」
聖兵士A「ひっ」
驚いた表情のナーガと恐怖の表情を浮かべる聖兵士A

ジェンの体を纏う光がなくなる

ナーガ「見たことがないほどの強力な魔の力だ。魔人の王といったところか」

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ジェン「・・・その魔人っていうのは何なんだ?」

ナーガ「おまえのような魔の力をもった人間だ」

手元に現れた剣を手に取るジェン

ナーガ「おまえたち魔人は生きてるだけで魔の力を放出し、世界に災いを呼び寄せる」

ジェン「!?」

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〇草原(昼)

読書しているルイス

中年男性「あの人、大丈夫ですかね?」

ルイス(大丈夫にきまってる。最後には絶対に勝てる最強の能力なんだから)

あくびをするルイス
ルイス(これで、やっとアタシも苦しみから解放される)

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〇異世界 山(朝)

ナーガ「魔の力は災害など人類にとって不幸な事象を引き起こす原因となる」

ジェン「なんで、そんなことがわかるんだよ?」

ナーガ「聖なる力をもつ我々にはわかるのだ」

ジェン「・・・」

ナーガ「貴様の背後にいる、悪の権化ともいえるような姿をした化け物は何だ?」

ジェン「!?」

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ジェン、慌てて後方を見るが背後には誰もいない

ジェン(何も見えないぞ・・・)

ナーガ「その化け物に殺した者たちの魂を食わせるつもりだろう」

ジェン「!」

聖兵士A「ナーガ様、あの化け物に対してはどう対処します?」

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ナーガ「対処は不要だ。姿の濃度からして現世の者には干渉できない霊体だからな」

ジェン(こいつらの話が真実なら、世界を救おうとしてる奴をオレは破滅させるのか・・・)

ナーガ「ここでオレが貴様を殺し、世界を救う!」

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ジェン(いや・・・どんな理由があっても、悪人でない弱者の命を一方的に奪うことは悪だ!)

ジェン、覚悟を決めた表情で剣を構える

後方で逃げ惑う人たちが聖兵士によって斬り殺されており、悲鳴が聞こえる

ジェン(こいつを早く倒して奥さんのところへ行かないと手遅れになる!)

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ナーガ「斬り合う前に一つ聞きたい。なぜオレの命を狙う?」

死んでいる中年男性の死体を見るジェン
ジェン「その男に頼まれたんだよ。妻と赤ちゃんを助けてくれってな」

ナーガ「・・・」

ジェン「あんたを破滅させれば、そこで死んでる男を生き返らせることができるんだ」

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ナーガ「戯言だとしても不愉快だ。いずれオレは聖軍の頂点に立つ男だぞ」

ナーガの威圧する雰囲気でたじろぐジェン

ナーガ「そこに転がってるザコのせいで殺されたとあっては、死ぬに死ねんわ!」
剣を抜くナーガ

ジェン(来る! でも、魔王の強さと比べれば天と地ほどの差があるはずだ)

目の前から消えるナーガの姿

ジェン(消え・・・)

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目に見えぬスピードでジェンの背後に移動し、背を向けて立っているナーガ

いつの間にかできたジェンの胸の切り傷から血が噴き出す

恐怖の表情を浮かべるジェン
ジェン「うわっ・・・」

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背後からナーガに剣で心臓を貫かれるジェン

ジェン、地面に倒れて苦しみながら絶命する

ナーガの姿を見る聖兵士A
聖兵士A(さすが、人類最強の男だ)

聖兵士A「動きが速すぎて目で追えませんでした」

ナーガ(この幻術が解けるまでは油断できない)

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〇真っ白な空間

目を覚ますジェン
ジェン「・・・あいつ、全然弱い奴じゃない。魔王より強いんじゃないか!?」

リリー「どうして弱い敵だと思ったの?」

リリー「ルイスがキャッチするモブキャラの死はね・・・」
リリー「圧倒的な強者がモブキャラの弱者を殺したケースがほとんどだよ」

ジェン「そうなのか!?」

リリー「異世界は無数にあるし、魔王よりも強い敵だって当然いる」

驚愕の表情を浮かべるジェン

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リリー「今回の条件はナーガを笑わせること」

ジェン「笑わせる?」

リリー「じゃあ、頑張って」

ジェン「何か獲得する能力は? 笑わせる能力とか」

リリー「今回は何もないよ」

ジェン「え!?」

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ジェン「普通の剣で君がナーガに一太刀あびせることより、笑わせることの方が簡単だよ」

ジェン「・・・あんな奴に一太刀って、不可能だっただろ」

リリー「魔王のときとは違って、君は何の痛みも受けずに闇化を使って、この空間に来た」

ジェン「!」

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リリー「だから、最初は条件達成が不可能に近いものだったんだよ」

ジェン「・・・」

リリー「ジェンの闇の力は、相手が強ければ強いほど破滅させるための難易度は上がる」
魔王やナーガを含む強敵たちのイメージ

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リリー「そして、ジェンが死ぬごとに敵から受けた痛みが加算されていく」

毎回死ぬごとにダメージが蓄積されていくようなイメージ

リリー「そのトータルの痛みの大きさに応じて難易度は下がっていく。それを忘れないでね」

ジェン(魔王と戦った時はテンシーちゃんを守りたい気持ちや個人的な怒りがあった・・・)

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震える自分の体を見るジェン

ジェン(だから痛みを受けても立ち向かおうと踏ん張れた)

ガチガチとジェンの体の震えがひどくなる

ジェン(今回はそうじゃないから、痛みに対する恐怖が半端じゃない!)

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〇異世界 山(朝)

話しているナーガと聖兵士Aの姿

聖兵士A「ナーガ様の話から推察するに時間をもどす能力なのでは?」

ナーガ「いや、この世の法則を破るそんな能力はありえない」

聖兵士A「では、記憶を操る能力・・・それとも幻術でしょうか?」

ナーガ「その両方の力を有してるのだろう」

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ナーガ(外加力(がいかりょく)タイプの魔人が存在したという報告が必要だな)

ジェンの死体が消える

光り輝きながらガチガチと震えているジェンが現れる

ジェンの姿を見るナーガと聖兵士A

ジェン(またあんな痛い思いをするのは絶対にごめんだ」

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聖兵士A「・・・幻術で急所をそらして死んだふりを?」

ジェン(やばい、メチャクチャ怖い!)

ナーガ「・・・次は体を原形とどめないほどに切り刻んでみるか」

恐怖の表情を浮かべるジェン

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ナーガ「さっきの威勢はどうした?」
威圧するような表情をするナーガ

ジェン「ひっ・・・聞きたいことがある!」

ナーガ「なんだ?」

ジェン「魔の力をおさえる方法があれば、魔人を殺す必要もなくなるじゃないのか!?」

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ナーガ「そんな方法はない」

ジェン「この先、見つかるかもしれないだろ!」

ナーガ「そんな不確かな未来を待つよりも、魔人を根絶やしにする方が確実だ」

ジェン「そんなっ・・・」

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ナーガ「話は終わりだ。これ以上貴様に付き合うつもりはない」

ジェン(や、やばい! ふざけたことして笑わせないと・・・)

剣を抜こうとするナーガ

ジェン「一つ面白いものを見せます!」

ナーガ、動きを止めてジェンを見る

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隣にある木に向かって拳を構えるジェン

ジェン「おおおおおっ! 力が漲ってきたー!」

ナーガ・聖兵士A「?」

勢いよくパンチする動作を数回繰り返すジェン

ジェン「おっしゃあああああっ!」
木に向かってパンチするジェン

ジェン、地面に倒れる

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ジェン「だああああああ! 腕が折れたーーー!」
地面で転げまわるジェン

聖兵士A「何の真似だ・・・」
ナーガ「・・・」
意味がわからないという表情の聖兵士Aと真顔のナーガ

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ナーガと聖兵士Aに向かって土下座するジェン
ジェン「あの今、腕が折れたんで、今日のところは見逃してください!」

聖兵士A、呆れた顔でジェンを見る

お腹を押さえるジェン
ジェン「あああ! 急に便意まで襲ってきたー! ヤバイもれる!」

ズボンを脱ごうとするジェン

<<page31>>

ジェン「すいません、今うんこしてもいいですか!?」

聖兵士A「・・・くくっ」
少し笑う聖兵士A

ナーガ「笑うな」

聖兵士A「も、申し訳ございません!」

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ナーガ「オレが一番嫌いな人間を教えてやろうか?」

ジェン、ナーガの形相を見てズボンを脱ぐのをやめる

ナーガ「命のかかった戦場で、ふざけたことをする人間だ!」
怒りの表情で剣を抜くナーガ