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〇草原(昼)

向き合っているジェンとルイス

ルイス「アタシの闇の力は異世界に移動させることもできる」

ジェン「異世界?」

ルイス「別次元にはね、無数の異世界があるの」

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〇ある平地

逃げるゴブリンたち

ゴブリンA「逃げろ! 転生者だ!」

ゴブリンB「子供、女を避難させろ!」

一人のイケメンが右手をあげる
テロップ『転生者 トム・オーガ』

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ゴブリンC「やめてくれー!」

雷がゴブリンたちに落ちる

真っ黒に焦げて倒れるゴブリンたち

トム「オレ、TUEEEえええええええ!」

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〇草原(昼)

ジェンに説明しているルイス

ルイス「この世界と同じように勇者がいる異世界もあれば、そうじゃない異世界もある」

ジェン「・・・そうなんですか」

ルイス「アタシは異世界で無念の死を遂げたモブキャラたちの悲痛な声が聞こえるの」

ジェン「変わった能力ですね」

ルイス(それは、闇の力の代償なんだけどね)

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ルイス「だから、あなたは異世界でモブキャラたちを殺した悪者を倒せばいい」

ジェン「オレが異世界で悪者を倒す・・・」

ルイス「そう」

ジェン「でも、異世界で言葉とか通じるんですか?」

ルイス「ええ。異世界に移動させる力には言語翻訳も付属能力としてついてるわ」

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〇ある山(朝)

聖軍から逃げる人々

一人の聖兵士が剣をぬく
テロップ『聖軍大将 ナーガ・ジャスティス・ホーリーナイト』

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ナーガ「作戦を開始したと王に伝えろ。全滅させるまで気を抜くなよ!」

聖兵士A「はっ!」

逃げる中年男性を剣で貫くナーガ

中年男性「ああっ!」

倒れて絶命する中年男性

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聖兵士A「ナーガ様、第二部隊が到着したようです!」

ナーガ「第二部隊は西へ進ませろ! 魔人どもを一人たりとも逃がすな!」

逃げる人たちを次から次へと斬り殺していくナーガ

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〇草原(昼)

ルイス、何かに気づいた表情になる

ルイス「モブキャラの悲痛な声が聞こえるわ」

ジェン「え?」

ルイス「あなたの出番ね。モブキャラを救うわよ」

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ジェン「いや、オレは一カ月に1回だけ悪者を倒せばいいから、まだ悪者は必要ないです」

ルイス「男のくせに情けないこと言ってないで悲しんでる人を救うのよ!」
地面に手をかざすルイス

中年男性が霊体のような姿でジェンとルイスの前に現れる

ジェン「え!?」

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ルイス「この霊体召喚も異世界へ移動させる力の付属能力よ」

中年男性「妻と赤ちゃんを助けてください!」

ルイス「アタシたちは異なる世界の人間だから、まずあなたのことを教えて」

中年男性「ボクの一族は魔人と呼ばれ、ずっと迫害を受けてきました」

ジェン「魔人?」

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中年男性「理由はわかりません。ボクたちは山奥に身を潜めて暮らしていたんです」

〇回想に突入 中年男性が過去を思い出す

〇回想 異世界 洞窟

山奥に複数ある洞窟のうち一つの洞窟に入っていく中年男性

ナレーション『ボクは妻と洞窟に住んでました』

洞窟内で横になっている一人の妊婦

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中年男性「もうすぐ産まれるな」

妻「元気な子だといいな」

ナレーション『これまで何も悪いことをせず真面目に生きてきました』

産まれた赤ちゃんを抱いて幸せそうに笑い合う中年男性と妻

ナレーション『そして、ボクたちの赤ちゃんが産まれたんです』

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〇回想 異世界 山

木の実を拾っている中年男性

ナレーション『その幸せは突如奪われました』

一族の男「聖軍だ! 逃げろ!」

中年男性「!」

聖軍から逃げ始める人々

ナレーション『悪人を処罰する聖なる軍団である聖軍が山に突然やってきました』

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ナーガ、剣をぬく

ナーガ「作戦を開始したと王に伝えろ。全滅させるまで気を抜くなよ!」

聖兵士A「はっ!」

逃げる中年男性を剣で貫くナーガ

中年男性「ああっ!」

倒れて絶命する中年男性

〇回想終了

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〇草原(昼)

ジェンとルイス、泣いている中年男性を見ている
中年男性「真面目に生きて手に入れた幸せが、こんな理不尽に奪われるなんてっ・・・」

ルイス「あなたを生き返らせることができるかもしれないわ」

中年男性「本当ですか!?」

ルイス「ええ。アタシたちの世界の生物でないなら可能よ」

ルイス「ただし、あなたを殺した悪者の魂を消滅させなきゃいけないんだけどね」

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ジェン「異世界の生物を生き返らせることができる能力も持ってるんですか?」

ルイス「今から説明するわ」

ジェンを指差すルイス
ルイス「まず、異世界に転移するあなたを『転移者』と呼ぶことにするわね」

ジェン「転移者・・・」

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次に中年男性を指差すルイス
ルイス「そして、殺されたこの人を『依頼者』と呼ぶ」

仮想の悪者のイメージ
ルイス「あとは、この人を殺した悪者を『ターゲット』と呼んで説明していくわよ」

ジェンに説明しているルイスの姿

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説明し終えたルイス、ジェンを見る

ルイス「というわけだから、さっそくあなたを異世界に転移させるわね」

ジェン「説明は理解できたよ。だけど、オレは痛い思いをしたくなくて・・・」

ルイス「あなたは魔王を倒したヒーローよ! あなたなら異世界の敵を倒せるわ!」

中年男性「お願いします! お願いします! 妻と赤ちゃんを助けてください!」
土下座する中年男性

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ジェン「でも・・・」

土下座している中年男性を指差すルイス
ルイス「あなたはこの人を見捨てるの!?」

ルイスを見るジェン
ジェン(なんだかな・・・)

中年男性「どうか助けてください!」

ジェン「・・・わかりました。オレがターゲットを破滅させてきます」
乗り気ではないが、中年男性に押し切られる形で請け負うジェン

中年男性「ありがとうございます!」

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ルイス「異世界に移動させるわね」

ジェン「・・・」

ルイス、ジェンの胸に右手で触れる

ジェンの姿だけが消える

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〇異次元の通り道

空中に浮かびながら進んでいくジェン

ジェン、ルイスの姿を思い出す
ルイスのセリフ「アタシは闇の力で3つの能力を手に入れた」

前方の光が見える異次元の通り道の出口をぬけるジェン

ルイスのセリフ「1つは移動させる力。残りの2つは異世界限定で使える力なの」

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〇異世界 山(朝)

ジェンの姿が現れる

ルイスのセリフ「異世界へは依頼者が死んだ場所に転移者を移動させることができる」

周囲の木々を見回すジェン

ルイスのセリフ「でもターゲットの魂を消滅させないと、異世界から帰還できない」

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ジェン、近くにある中年男性の遺体を見つける

ルイスのセリフ「2つ目の能力は、一度だけ異世界の時間を依頼者の死亡時刻にもどす力」
周囲の背景が歪み始める

ルイスのセリフ「ただし、ターゲットの記憶と転移者には適用されない」

周囲にナーガと聖兵士らの姿が現れる

ナーガ「!?」
驚いた表情を浮かべているナーガ

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ルイスのセリフ「3つ目の能力は、ターゲットを殺せば、依頼者を生き返らせられる力」

ナーガを見るジェン
ジェン「あいつを破滅させれば、あの人は生き返るんだな」

聖兵士A「ナーガ様、第二部隊が到着したようです!」

ナーガ「なんだこれは・・・」

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聖兵士A「第二部隊は西に進むということでよろしいでしょうか?」

ナーガ「・・・まるで時間がもどったかのように感じるな」

聖兵士A「え、どうされました?」

何の戸惑いもなく動いている周囲の聖兵士たちを見るナーガ

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ナーガ「おかしな状況に気づいているのはオレだけか・・・」

ジェン、ナーガに姿を見せる

ジェン「ナーガ・ジャスティス・ホーリーナイト、あんたを破滅させる」

互いに向き合うジェンとナーガ

ナーガ「・・・貴様の仕業か」

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ナーガ「なぜ、オレのフルネームを知っている?」

ジェン「そりゃメインキャラの名前はわかるだろ」

ナーガ「なに?」

ジェン「モブキャラにも積み上げてきた大切な人生があるんだよ!」

ナーガ「モブキャラ?」

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ジェン「それを一方的に奪うなんてオレが許さない!」

ナーガ「どういう意味だ。さっきから何を意味不明なことを言っている?」

ジェン(・・・この異世界にはメインキャラやモブキャラっていう言葉が存在しないのか?)

ナーガ「オレのフルネームは家族しか知らないはずだが」

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ジェン(オレの世界と仕組みが違うから、メインキャラの姿を見ても名前がわからないんだ)

ナーガ「いったい何をした、幻術か?」

ジェン「どうかな?」
自分の胸に手を当てるジェン

〇回想に突入 ジェンが真っ白な空間での出来事を思い出す

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〇回想 真っ白な空間

リリーと話しているジェン

リリー「痛みなく自分で死ねる方法はあるよ。一日に一度しか使えないけどね」

ジェン「どうやるんだ?」

リリー「心の中で強く『闇化する』と望むの」

〇回想終了

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〇異世界 山(朝)

自分の胸に右手の手の平をあてているジェン

ジェン「闇化!」