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〇異世界 平地(昼)

山の方へ手の平を向けているトム

トム「次は山を吹き飛ばす」

ジェン「!」

トムの手の平が赤く光っていく

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ジェンの頭の中にゴブリンCの姿が思い浮かぶ
ゴブリンCのセリフ「こちらの世界のゴブリンは、悪さをしないと誓ってる者もいます」

ジェン「っ・・・」

トム「ま、ぶっちゃけると、このまえ女に振られてからムシャクシャしててな」

ジェン「!?」

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トム「とにかく誰でもいいからぶっ殺したいだけなんだわ」

ジェン「!」

笑いながら山に向かって能力を発動させようとするトム

トム「オーガ・・・」

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ジェン、トムの胸を背後から小刀で貫く

トム「なっ・・・」

驚いた表情を浮かべて地面に倒れるトム

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いつの間にかジェンの背後に立っているトム

トム「何してんだ? てめー」

ジェン「!?」
驚きながら振り向くジェン

無傷のトムが立っている

ジェンの背後には倒れているトムの姿

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ジェン、振り返って自分の背後で倒れているトムの姿を見る

倒れているトムの姿が消える

ジェン、正面を向く

無傷のトムと向き合う

ジェン(やばい! どういう能力なんだ!?)

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〇草原(昼)

読書しているルイス

足音がして、人影がルイスに近づく

ルイス「!」

ロイの声「仲間が命懸けで戦っているときに読書か。どういう神経してるんだ?」

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ルイス「・・・何の用?」
本を閉じるルイス

地面に座るロイ

ロイ「ジェンに頼まれたことがあってな」

ロイ「彼が異世界から帰ってくるか確認しなければならない」

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〇異世界 平地(昼)

小刀についている血を見るジェン
ジェン(たしかにオレはこいつ刺したはずだ)

トム「背後から人を刺すか? ふつー」

ジェン(幻を見せる能力なのか?)

トム「なんでオレの背中を刺した?」

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ジェン「・・・ご、ゴブリンを殺そうとしたから」

邪悪な表情で笑うトム
トム「おまえに興味わいてきたわ。半殺しにして本当のことを吐かせてやる」

凍り付いた表情を浮かべるジェン

ジェン(だめだ・・・自分で自分を傷つけて闇化するしかない!)

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ジェン、小刀で自分の左足のふとももを貫く

トム「!?」

ジェン「っう・・・」

ジェン(まだだっ!)
小刀を振り上げて反対側の脚の太ももを貫こうとするジェン

体が磔にされたような格好になるジェン
ジェン「!?」

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トム「思い通りにさせるかよ」
ジェンに手の平を向けているトム

ジェン(体を動かせないっ・・・)

ジェン「ナイフが刺さったはずなのに何でだ!?」

トム「6つあるチート能力のうちの一つを使ったからな」

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ジェン「6つ!?・・・この動けなくする技や雷や爆発もチート能力か」

トム「磔にする力はチート能力の一つだな」

トム「筋肉に頼った力じゃ、その状態から抜け出せなくする」

トム「たとえ惑星を吹き飛ばすような腕力があっても抜け出すのは無理だ」

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トム「雷や爆破はチートじゃねえよ。そう呼ぶには物足りないレベルの能力だろ」

愕然とした表情を浮かべるジェン
ジェン「そんな・・・」

トム「どんな能力をもってるか知らねえけど、使えなくしてやるよ」
ジェンに近づいていくトム

ジェン(そんなことができるのか!? やばい!)

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トム「いかなる特殊能力も封じることができる。それが2つ目のチート能力だ」
ジェンに向けてる手の平を握ったあと人差し指だけを向ける形にするトム

ジェン「闇化!」

絶命するジェン

トム「この世界じゃ、このチート能力の出番はないと思ってたんだがな」
地面に落ちているジェンの小刀を拾うトム

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〇真っ白な空間

目を覚ますジェン
空間内にジェンとリリーの二人の姿

ジェン「相手の能力を無効にする力を敵がもってたら、闇化も無効化できるのか?」

リリー「安心して、闇化が使えなくなるようなことは絶対にない」

リリー「あと、闇化の能力が奪われたりコピーされたりすることもありえない」

ジェン「くそっ、まだ闇化するんじゃなかった」

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リリー「今回の条件はトムを気絶させること」

ジェン「あいつ、闇化みたいに生き返ったように見えたぞ。どんな能力なんだ?」

リリー「知らない。でも、闇化ではないよ」

ジェン「太ももだけのダメージじゃ、条件の達成難易度は高そうだな・・・」

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リリー「今回は、これまでの戦いで得たことがある能力か武器を一つだけ選べるよ」

ジェン「・・・前回みたいな身体能力の向上と特別な剣を両方得るのは無理なのか?」

リリー「うん、どちらかだけ」

ジェン(次に体を動かすことができなくなる力を奴に使われたら、終わりだ)

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リリー「魔王戦で得た時間をもどす力とかも候補としてあるよ」

ジェン「あいつは幻を見せる力をもってるかもしれない」
倒れていたトムが消えたのを思い出すジェン

リリー「・・・」

ジェン「それがどんな能力か見破らないと倒せない気がする」

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ジェン(さらに雷と爆破の能力・・・筋肉に頼った力では抜け出せない磔にする能力)

ジェン(それ以外にまだチート能力が4つあるだって?)

ジェン「ちくしょう、これまでの敵の中で一番強そうだ!」

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〇異世界 平地(昼)

磔にされた格好で空中に浮いているジェン

トム、小刀でジェンの体を何か所も刺している

反応のないジェンの死体

トム「・・・何だったんだ、こいつは?」

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ジェンの死体が消える

トム「なに!?」

トムの後方で光り輝きながらジェンが現れる

振り返るトム

トムに手の平を向けているジェン

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ジェン「ブラックショック」

ジェンの手の平からパリパリと黒い電気が発生する

巨大な黒いエネルギー波がジェンの手の平から勢いよく放出される

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巨大な黒いエネルギー波がトムに向かってくる

トム「・・・ほう」
冷静な表情で両腕を胸の前でクロスするトム

黒いエネルギー波を正面から受けるトム

<<page26~page27 見開き>>

ジェン、黒いエネルギー波を放出しながら体を回転させていく

ジェン「あああああああああ!」
全方位にブラックショックを放つジェン

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ジェン、ブラックショックを放ち終わる

ジェン(これなら、オレに幻を見せていて別の場所にいようと回避できない)

砂煙で周囲が見えない

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ジェン「やったか?」

祈るような表情のジェン

ジェン「頼む、これで終わってくれ」

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砂煙が一瞬にしてなくなる

トム「いや、終わるわけねえだろ」
笑いながら遠くから無傷の姿で歩いてくるトム

恐怖の表情を浮かべるジェン
ジェン「っ・・・」

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トムに手の平を向けて再度ブラックショックを放とうとするジェン

トム、ジェンに向かって手の平を向ける

ジェンの体が磔にされたような格好になる

ジェン「ちくしょう・・・」

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トム「で、また死んだふりでもするか?」

手の平だけをトムに向けるジェン
ジェン「ブ、ブラックショック!」

トム「無理だぜ。能力を使えなくしたからな」
ジェンに人差し指を向けているトム

ジェン「っ・・・」

トム「てめー、転生者だな?」