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〇警察署 廊下(朝)

エマとフラーが向き合って立っている

エマ「私のセンタに手を出さないで!」

フラー「えーっと?」
困ったような表情のフラー

ナレーション『私はこの女が嫌いだ』

〇回想に突入 エマが過去を思い出す

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〇回想 警察署 射撃訓練場

射撃大会で高得点をあげる新人の頃のエマ
ナレーション『私には才能がある』

エマを褒めている周囲の人たち

射撃で低得点だったフラー

フラー「アタシ、銃の扱いは苦手で・・・」
周囲の人たちがフラーを慰めている

表彰台で優勝トロフィーをもらって嬉しそうな顔のエマ
周囲の人たちと一緒にエマに向かって拍手する笑顔のフラー

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〇回想 高層マンションの敷地内

マンションが火事で燃えている

ベランダで泣いている子供の姿

警察官A「部屋のスプリンクラーが作動していないみたいだ!」

警察官B「このままじゃ消防が来るまで子供がもたないぞ!」

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警察官A「スプリンクラーに狙撃して衝撃を与えれば作動するんだが・・・」

警察官B「この場所からの角度だと、少しでも狙いがはずれれば子供に当たりかねない!」

警察官A「誰か狙撃の技術が高い者はいないのか!?」

エマ、銃口を部屋の中にあるスプリンクラーに向ける

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エマ(ダメだ・・・私でも確実に当てられるかわからない!)

フラー、エマの苦しそうな表情を見ている

エマ(もし子供に当たったりでもしたら・・・)
銃口で狙いを定めながらも震えているエマ

フラー、拳銃でスプリンクラーに狙いを定める

エマ「!?」
銃を構えたフラーを見るエマ

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フラー、狙撃する

銃弾が当たったスプリンクラーが作動して水が部屋の中にまかれる

警察官A「やったぞ!」

警察官B「これで消防が来るまでもつな! 君、凄いぞ!!」

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フラー「まぐれで奇跡的に当たったみたいです」
にっこりと笑むフラー

エマ、呆然とした顔でフラーを見つめる

ナレーション『フラーは才能があるのに、それを隠す』
ナレーション『名誉や地位に興味がないのだ』
消防に救出された子供の親から泣きながら感謝されるフラー

その光景を見つめるエマ
ナレーション『あの女は本当に価値のあるものを手に入れる時にだけ才能を使う』

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〇回想 マンション エマの部屋

射撃大会の優勝トロフィーをゴミ箱の中に乱暴に投げ捨てるエマ

エマ「・・・」
不快な表情を浮かべるエマ

〇回想 警察署 廊下

フラーの周りに同期の新人警察官たちが群がっているのを見るエマ

同期A「テレビの取材インタビューを断ったんだって?」

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同期B「有名になれるチャンスだったのに」

同期C「新聞にも活躍した新人警察官ってだけ載ってて、顔と名前が伏せられてたよ」

フラー「まぐれで有名になりたくないから」

同期D「なんで急に銃の扱いが上手くなったの?」

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フラー「上手くなったわけじゃなくて、あの時なぜか当たるような気がしたの」

同期E「本番で力を発揮するようなタイプなんじゃないか?」

フラー「そんなことないよ」
ふわりと笑うフラー

エマ(この嘘つきが!)
エマ(自分の技術に絶対の自信がなければ、あの状況で撃てるはずがない!)

不愉快そうな表情でその場を去るエマ

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〇回想 ビル 部屋

先輩の女刑事と張り込みしているエマ

先輩「あの男は凄腕のハッカーだから、警察に力を貸してくれれば心強いんだけど」
外を歩いている男を見ている先輩

エマ「協力してくれないんですか?」

先輩「そう、誰が勧誘してもダメ」
先輩「もちろん、女性諜報員のお色気作戦でも無理だった」

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〇回想 歓楽街

帰宅途中のエマ

近くのホテルから楽しそうに話しながら出てくる凄腕のハッカーの男とフラーの姿

二人の姿を見るエマ
エマ「!」

フラーたちの死角に隠れるエマ

ナレーション『フラーは何も考えてない天然女のように見られるけれど、底が見えない女だ』

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ハッカー「君のためならいつでも協力するよ」

フラー「ありがとうございます」

ナレーション『本当に価値のあるものだけをちゃっかりと手に入れる』

フラーとハッカーが夜の街に消えていく

ナレーション『女の勘と刑事の勘の両方で私にはわかる』
ナレーション『フラーには必ず裏がある』

〇回想終了

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〇警察署 廊下(朝)

向かい合っているエマとフラー

エマ(完全な世界をつくるためにもセンタは必要不可欠)

ナレーション『そして、夢のためだけじゃなく女としても―――』

エマの頭の中にセンタの姿が思い浮かぶ

ナレーション『センタは絶対に失いたくない存在となっていた』

エマ「これからは一切センタに近づかないで!」

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フラー「・・・センタさんが嫌がってるのなら近づかないけど?」

エマ「嫌がってるのよ!」

フラー「センタさんの口から直接聞かないと信じられないかな」

エマ「・・・」

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ふふっと笑うエマ
エマ「そっちが、その気なら・・・・仕方ないわね」

フラー「?」

フラーに背を向けて立ち去っていくエマ

エマ(センタがフラーに幻滅するように仕向けてやる!)

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廊下を一人で歩いているエマ

エマ(フラーと私の休日が重なるのは3日後。その日に実行するべきね)

エマ(上手くいけば、センタはフラーに幻滅することになる)

エマ(明日と明後日は完全な世界の実現に向けて未解決事件を解決しよう・・・)

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〇マンション エマの部屋(昼)

テレビのニュースを見ているセンタ

ニュースではエマが妊婦連続殺害事件を解決したとしてアナウンサーに紹介されている

アナウンサー「妊婦連続殺害犯であることを自白して自殺したゴリバー氏ですが」
アナウンサー「エマ・ルーナ刑事の捜査で追い詰められため観念したとのことです」

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センタが変身したゴリバーが謝罪している動画がニュースで流れている

センタ「・・・」

ナレーション『この事件でエマは有能な刑事として世間で有名になった』

エマが玄関ドアを開けて帰ってくる

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エマ「センタ、事件を解決するわよ」

センタ「何の事件?」

エマ「迷宮入りになった未解決事件よ」

資料をセンタに見せるエマ

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エマ「1年前に、ある村で287人の人間が同時に行方不明になったの」

センタ「287人? 多すぎるな」

エマ「警察は全力で半年間捜査にあたったけど、犯人は見つからず捜査は打ち切りとなった」

センタ「そこまでしてでも見つけられなかった犯人をどうやって探すんだ?」

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エマ「犯人だと疑われた人間が1人いたの」

エマ「資産家、リザール・ルイバ」
資料の中から高齢の男の写真を手に取るエマ

センタ「でも、犯人じゃなかったんだろ?」

エマ「証拠が見つからなかったからね」

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エマ「この男は大きな豪邸を持っているの」

エマ「家宅捜索がおこなわれたけど、行方不明者を見つけることができなかった」

センタ「じゃあ、犯人じゃないんだろ?」

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エマ「私の予想は豪邸の中に隠し部屋があって、そこに行方不明者たちの死体があると思う」

センタ「!」

エマ「行方不明となった者たちの遺体が見つかってないからね」

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エマ「リザールが犯人ならセンタの透明化と透過を使えば、隠し部屋を見つけられるかも」

センタ(今回は死体探しか・・・)
乗り気でない表情のセンタ

センタ「でも、犯行時にしか隠し部屋を使わない可能性もあるだろ」

エマ「その場合はセンタの変身を使うことになる」

センタ「?」

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エマ「リザールには幼馴染の女性がいて、豪邸に二人で住んでるの」
エマ「その幼馴染は共犯の可能性がある」

エマ「だからリザールか幼馴染に変身して、もう片方を騙し、事件について聞き出せばいい」

センタ「難しそうだな。二人が知っている当然のことを聞けば不自然に思われるし」

エマ「センタの変身は非現実的な能力よ。まずバレないわ」

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エマ「それに上手く演じれるように、私が今日を使って演技指導するから心配無用よ」

センタ「無線で会話できるイヤホンを耳につけた方がいいんじゃ?」

エマ「豪邸の中に電波を探知する装置があれば、会話内容を盗聴される」

エマ「金属探知機なら誤作動で済ませられるけど、会話内容を盗聴されるのはまずい」

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エマ「だから、あらゆるケースに対応できるように私がマニュアルを作成する」
エマ「今日中にセンタは、それを頭の中に叩き込んで」

センタ(大変そうだな・・・)

パソコンを操作してマニュアル作成にとりかかるエマ

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エマ(この事件を解決すれば、警察内での私の評価と世間での私の知名度は、さらに上がる)

エマ(それは完全な世界の実現に必要なこと)

エマ(なんとしてでも明後日までに事件を解決してみせる!)

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〇豪邸 敷地内(翌日の朝)

玄関から出てくるリザール

透明化を使用したセンタ、リザールに近づいていく

センタ、発信機と盗聴器を握ってる手を透過させてリザールのバッグにつっこむ

手に握っていた発信機と盗聴器をはなすセンタ

手から離れた発信機と盗聴器に透明化と透過が適用されなくなり、バッグの中に落ちる

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〇車内(朝)

運転席に座っているエマ

ドアがノックされる

エマ「!」

透明化を解除したセンタが助手席に座っている

センタ「計画通りにできたよ」

エマ「OK。次の行動に移るわよ」

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〇豪邸 外壁の近く(朝)

高い外壁の前に立っているエマとセンタ

エマ「ここから透過を使用して室内に入って」

センタ「・・・たぶん無理だな」

エマ「え?」