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〇車内(昼)

運転しているエマと助手席に座っているセンタ

エマ「ここがオリビアの自宅付近ね」

停車するエマ

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エマ「今から私は別行動するから、私と合流するまで透明化して行動するのよ」

センタ「なぜですか?」

エマ「センタは出生登録がされてない」

エマ「だから外で私が隣にいない時に警察に職務質問でもされたらアウトよ」

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センタ「アウトって?」

エマ「出生登録されてない人間は犯罪者として扱われるの」

センタ「そうなんですか」

エマ(嘘だけどね)

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エマ「何があっても絶対に透明化を解除しちゃダメよ」

センタ「わかりました」

周囲を見回して人がいないことを確認するエマ

エマ「じゃあ、透明化したら車を降りて」

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〇オリビアのアパートの前(昼)

透明化したセンタ、アパートを見上げている

センタ(ここか・・・)

玄関の扉を開けて部屋から出てくるオリビア・グレース(25)

センタ(あの人だ!)

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〇道(昼)

オリビアを尾行している透明化したセンタ

センタ(・・・悪そうな人には見えない)

手鏡を使用して尾行されていないか背後を確認するオリビア

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〇倉庫(夜)

若者たちの前に立つオリビア

透明化したセンタ、オリビアの近くに立っている

センタ(ここがアジトか・・・)

幹部A「新規のメンバーに我らのリーダーであるオリビアさんを紹介する」

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幹部B「オリビアさんは権力者の令嬢だ」

幹部C「しかし政府を打倒しようとしている!」

幹部A「これは機密情報だが、実は権力者によって最下層の人たちが奴隷として扱われてる」

センタ「!」

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幹部B「また、政府が必要以上に利益を搾取するから我々のような貧困層が生まれている!」

幹部C「それを知ったオリビアさんは政府に異議を唱え、追放された」

センタ「・・・」

幹部A「これから、いかに世界が腐敗しているのかを説明しよう!」

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幹部の話を聞いているセンタの姿

幹部B「オリビアさんは権力者側にいたからこそ、これらの事実を知ることができた!」

幹部A「だが、このことを世間に広めようとすれば偽情報の流布という罪で拘束される」

幹部C「その罪状で我々の仲間は牢獄行きになった」

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幹部A「握りつぶしたい不都合な真実だから平和的な抗議活動を排除しようとするんだ!」

幹部B「このような情報統制をする政府のことなど信じられるか?」

若者たち「信じる奴は馬鹿だけだ!」

幹部A「しかし多くの人々は我々に関わると牢獄行きになると思い、耳を貸さない」

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幹部C「だから我々は爆弾を使って政府に要求をのませる!」

センタ「!」

オリビア「みなさん、もう少しで爆弾は手に入ります」
オリビア「ですが、一つだけ約束してほしい」

幹部たちより前に進んで立つオリビア

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オリビア「それは、爆弾による犠牲者を絶対に一人も出さないことです」

センタ「・・・」

オリビア「私たちは一滴も血を流させることなく、世界を変えていくのです!」

歓声をあげる若者たち

オリビアを見つめるセンタ

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〇道(夜)

自宅に向かって歩くオリビア

オリビアのあとをついていく透明化したセンタ

センタ(この人は、誰も犠牲にすることなくテロで世界を変えようとしている)

センタ(俺は、どうすればいい・・・)

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前方から歩いてくるエマの姿

センタ(ルーナさんだ)

エマ「オリビア・グレースさんですね?」

立ち止まるオリビア

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オリビア「・・・あなたは?」

向き合って立つエマとオリビア

エマ、警察手帳を右手に持って前に掲げる

エマ「警察です」

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オリビア「・・・警察の方が何のご用ですか?」

エマ、爆弾の入った袋を左手に持って前に掲げる

エマ「あなたを爆弾不法所持の罪で逮捕します」

オリビア「!」

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パトカーがサイレンを鳴らしてオリビアの側に停車する

パトカーから警察官2名が出てくる

オリビア「・・・どういうことですか? 私は爆弾なんて所持していません」

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エマ「家宅捜索であなたの自宅から発見されました」

オリビア「!?」

エマ「言い逃れできませんよ」

オリビア「・・・あなたの仕業ね?」

エマ「はい?」

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オリビア「あなた、警察官としての誇りはないの!?」

エマ「何を言っているのか意味がわかりません」
連行するように警察官に合図するエマ

パトカーに乗せられるオリビア

走り去っていくパトカーを見つめるセンタ

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周囲に人がいないか確認するエマ

エマ「センタ、いるなら透明化を解除していいわよ」

透明化を解除するセンタ

センタ「・・・どうやって爆弾を手に入れたんですか?」

エマ「爆弾は裏社会の人間を使って手に入れた」

〇回想に突入 エマが夕方の出来事を思い出す

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〇回想VIPルームの個室

席に座っているエマ

黒い服を着た老人が賢く屈強そうな付き人を二人連れて室内に入ってくる

エマ「私はこういうものよ」
警察手帳を見せるエマ

老人「用件は何でしょうか?」
席に座ってエマと向き合う老人

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エマ「あなたは尻尾を掴ませないことで有名だから頼みたいことがあるの」

文章が打ち込まれた携帯画面を見せるエマ

エマ「これをこの方法で手に入れたいんだけど」

老人、画面の文章を見る

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エマ「この方法ならあなたも私も業者も安心安全でしょ?」

老人「・・・」

エマ「見返りはあなたが望む情報を私が独自に調べて一度だけ提供する」

老人「失礼ですが、あなたの階級で得られる程度の情報では・・・」

エマ「たとえ世界最高レベルの機密情報でも手に入れることができるわ」

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老人「・・・」

エマ「情報に関しては特別な入手ルートを私はもってるの」

老人、じっとエマの顔を観察する

エマ(センタがいればどんな情報でも入手可能だしね)

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エマ、連絡先だけが印刷された紙をテーブルに置く

エマ「ここに連絡してほしい」

老人「・・・嘘をついてるようには見えませんね。面白い」
エマが置いた紙を手に取る老人

エマ「じゃあ、3時間後に」
VIPルームの個室から出ていくエマ

〇回想終了

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〇道(夜)

向き合っているエマとセンタ

エマ「そんな連中なんかと取引なんてしたくなかったんだけどね」
苦々しい表情を浮かべるエマ

センタ「決定的な証拠になるんですか?」

エマ「いいえ」

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エマ「でも部屋に防犯カメラはなかったし、あの女には扇動罪の前科がある」

センタ「・・・」

エマ「それに要注意人物に指定されてるから、裁判では不利。間違いなく有罪判決ね」

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センタ「あの人は腐敗した政府を変えるためにテロを起こすと言ってました」
センタ「それに、爆弾による犠牲者を出さないよう仲間に演説してたんです」

エマ「それが本当のことだって証明できるの?」

センタ「・・・」

エマ「テロを正当化するために嘘を言うのは、扇動する際によく使われる手よ」

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センタ「あの人はっ・・・」

エマ「まあ、この世界の政府が腐ってることは事実よ」

センタ「!」

エマ「でもね、爆弾で犠牲者が絶対に出ないだなんて誰にもわからない」

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エマ「爆弾を使うこと自体が間違っているのよ」

センタ「・・・」

エマ「私は惨事を未然に防ぐためなら、自分の手を汚すことも厭わない」

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エマ「帰るわよ」
センタに背を向けて歩いていくエマ

エマ、悪そうな笑みを浮かべて立ち去っていく

エマ(不完全な世界について知る、いいきっかけになったみたいね)

センタ、何とも言えないような表情を浮かべて、エマについていく