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〇警察署 廊下(朝)

並んで歩くエマとセンタ

センタ「警察署で俺は何をするんですか?」

エマ「捜査協力者であることを証明する許可証を作成するの」

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階段から降りてくるフラー・ガブリエル(24)

フラー「おはよう、エマ・・・そちらの人は?」
センタを見るフラー

エマ「私のパートナーよ」

フラーを見つめるセンタ
センタ(ルーナさんと同じで美人だな)

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ふわりとした笑顔になるフラー
フラー「アタシはフラー・ガブリエル」
フラー「フラーと呼んでください」

センタ「・・・センタ・ワトソンです」

フラー「センタ・ワトソン・・・ご両親がファンなんですか?」

センタ「え・・・ファン?」

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フラー「・・・伝説の刑事、センタ・ワトソンのファンなんですか?」

センタ「ああ・・・そうです」

センタ(そういえば、たしか100年前に活躍した刑事の名前とかルーナさんが言ってたな)

不思議そうな顔でセンタのことを見つめるフラー
フラー「・・・」

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フラー「じゃあ、ご両親は―――」

エマ「悪いけど、私たち急いでるの」
フラーの言葉を遮るエマ

エマ「行くわよ、センタ」
センタ「はい」

フラー、去っていくセンタの後ろ姿を見つめる

妖艶な表情を浮かべるフラー
フラー「へえ・・・」

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〇警察署 刑事室(朝)

ドアを開けて中に入るエマとセンタ

エマの姿に気づく刑事部長

部長「おはよう、ルーナ。隣の彼は?」

エマ「今日から私のパートナーになるセンタ・ワトソンです」

部長「そうか、偉大な名前だな」

センタ「・・・」

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部長「誰かをパートナーにするのは初めてだろう? 申請の仕方はわかるかね?」

エマ「はい」

部長「じゃあ、ミーティングを始めるぞ」

エマ「センタ、そこに座ってて」
ミーティングルームに入っていくエマ

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センタ、ガラス張りのミーティングルームで会議を始めた刑事たちを見ている

刑事室の中にフラーが入ってくる

目が合うセンタとフラー

フラー「センタさんはエマの恋人ですか?」

センタ「いや、違います」

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フラー、エマの座っている席の死角となる場所に立つ

フラー「今、誰かと付き合ってたりします?」

〇警察署 刑事室のミーティングルーム(朝)

話し合っている刑事たち

ミーティング室の外で誰かと話しているセンタの姿がエマの目に入る

エマ「?」

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〇警察署 刑事室(朝)

センタとフラーが話している
ミーティングルームの外にはセンタとフラーの2人しかいない

フラー「やっぱりセンタさんは思ったとおりの人です」
ふわりと笑むフラー

フラー「少しお話しただけで、直感が確信に変わりました」

センタ「?」

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フラー「アタシ、センタさんに恋しちゃったみたいです」

センタ「え?」
驚いた表情になるセンタ

見つめ合うセンタとフラーの姿

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〇警察署 ミーティングルーム(朝)

照れながら誰かと話しているセンタの姿を見ているエマ
エマからはフラーの姿が見えない

エマ(まさか・・・)

刑事部長「ルーナくん、聞いてるのかね?」

エマ「! はい、聞いてます」

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〇車内(朝)

エマ、運転席に座る

助手席に座るセンタ

エマ「さっきフラーと何を話してたの?」

センタ「え・・・男の事務員さんと話してましたよ」

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エマ「見えてたわよ、フラーと話してるの」

センタ「・・・見えてたんですか」

エマ(!・・・やっぱりフラーと話してたのね)

エマ「何を話したの?」

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センタ「・・・天気とか、ただの雑談です」

疑いの目を向けるエマ
エマ「フラーは魔性の女よ」

色っぽいフラーの姿のイメージ
エマ「気に入った男を虜にして、遊ぶのに飽きたら捨てる」

センタ「そういうガセネタが一部で噂されてるみたいですね」

エマ「あの女がガセだって言ったの? 事実よ」

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エマ(早くセンタを私の虜にしないと・・・)
焦りの表情を浮かべるエマ

エマ「なんかちょっと暑いわね」
服を調節して胸元が見えるようにするエマ

センタ「・・・そうですか?」
思わずエマの胸元を見てしまうセンタ

エマ「ねえ、センタ・・・」
センタに体を寄せていくエマ

センタ「!」

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センタの顔に自分の顔を近づけていくエマ

エマの携帯が鳴り、エマの動きが止まる

エマ(なによ、間が悪いわね!)
センタから離れて携帯の画面を確認するエマ

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メールを見たエマの顔が曇る

エマ(監視任務!? 冗談じゃないわ!)

車を発進させるエマ

センタ「?」

何か思いついたような表情になるエマ
エマ「!」

エマ(そうよ、センタの能力を使えば・・・)

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〇マンション エマの部屋(昼)

エマ、パソコンを操作してセンタに画面を見せる

エマ「爆弾を入手しようとしている要注意人物の監視任務をすることになったわ」

画面に映る美しい女性

センタ「この人が爆弾を・・・」

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エマ「名前はオリビア・グレース」
エマ「テロを企ててるみたい」

センタ「どういう罪になるんですか?」

エマ「許可のない爆弾の所持は執行猶予なしの懲役10年」

センタ「監視となると、張り込みとかですか」

エマ「ええ」

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オリビアの自宅の場所が書かれた地図をセンタに渡すエマ
エマ「爆弾を入手するまで監視する必要があるから、長いと半年は張り込むことになる」

センタ「根気の勝負ってことですね」

エマ、にこっと笑みを浮かべる

エマ「だけど、センタが協力してくれたら1日で終わる!」

センタ「え?」

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エマ「工業用に使う爆弾を工場からセンタが盗み出して、こいつの家に置くの」

センタ「・・・」

エマ「そうすれば、その爆弾を証拠にして投獄できる」

センタ「ちょっと待ってください」

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エマ「持ち運びが可能な小型の爆弾だから心配無用よ」

センタ「そういうことじゃないです!」

エマ「え、どういうこと?」

センタ「爆弾を所持していない段階で証拠を捏造するんですよね?」

エマ「そうよ」

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センタ「まだ罪を犯してない人を投獄するってことじゃないですか!」

エマ「この女は扇動罪の前科があるわ」

センタ「でも、罪を償って釈放されたんですよね?」

エマ「要注意人物に指定されてるほどの女だし、いずれは必ず実行するわよ」

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センタ「要注意人物って?」

エマ「危険な考えをもっていて、爆弾を手に入れることのできる人間とかが該当するわ」

センタ「心変わりするかもしれないじゃないですか」
センタ「爆弾を入手してから捕まえればいい」

エマ(そうすると、完全な世界の実現に向けての始動が最悪半年も遅れることになる)

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エマ(不完全な世界が長く続けば続くほど、それによる犠牲者が増える)
エマ(なんとかしてセンタを説得しないと・・・)

エマ「・・・爆弾の入手方法が判明してないから証拠を押さえられないかもしれない」

センタ「俺の能力を使って監視すれば大丈夫ですよ!」

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エマ「大丈夫じゃないわ」

センタ「!?」

エマ「こいつから一秒たりとも離れずに見張れないでしょ?」

センタ「え・・・」

エマ「もしセンタが眠ってる時やトイレに行ってる時に爆弾を入手されたら?」

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センタ「ルーナさんと交代で見張れば・・・」

エマ「家の玄関のドアポストに爆弾を届けるように手配していたら?」

センタ「・・・家の中やドアポストが映る位置に隠しカメラを取り付ければいい」

エマ「それがバレて姿を隠され、行方がわからなくなったら?」

センタ「・・・」

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エマ「それでテロが起きて死人が出たら、センタが殺したも同然よ?」

センタ「なんでですか?」

エマ「テロを阻止できる力があるのに、阻止しないからよ」

センタ「でもっ・・・罪のない人を牢に入れるなんて、俺は嫌です!」

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エマ「たとえば、センタが人の心を読む能力も持っていたとして・・・」

センタ「?」

エマ「車で歩行者を無差別に轢き殺そうと決心してる若者を見つけたとする」

センタ「・・・」

エマ「その時、若者の心変わりする可能性を考えて、殺人を犯すまで監視するの?」

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エマ「それで轢き殺された人や遺族に何て詫びるの?」
エマ「確実に惨事を防ぐ方法があるのに、それを実行しないのは悪よ」

センタ「っ・・・とにかく、俺は張り込みしてきます!」
玄関に向かって歩いていくセンタ

フラーの姿がエマの脳裏をよぎる
エマ(センタを外で一人にするわけにはいかない!)

「待って、私が車で連れて行く」
センタについていくエマ

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〇エマのマンションの駐車場(昼)

車に向かって歩くエマとセンタ

センタの歩く後ろ姿を見つめるエマ
エマ(まずいわね、予想以上に私と考えが合わない)

エマ(完全な世界をつくるための計画にセンタは反対するかもしれないわ)

エマ(この計画にはセンタの協力が必要不可欠)

エマ(なんとかしないと・・・)