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〇豪邸 外壁の近く(朝)

センタを見るエマ

エマ「無理って?」

センタ「この壁はかなり分厚いだろ」
外壁を見るセンタ

エマ「それが?」

センタ「俺が透過で通り抜けられる壁の厚さは大股一歩くらいまでだ」

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エマ「どうして?」

センタ「俺は両足を同時に透過させることをしない。なぜなら地面の中に沈むからだ」

エマ「!」

センタ「だから透過して壁などをすり抜けるときは、まず片方の足以外を透過させる」

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センタ「そして透過させた脚が壁をすり抜けたら、その脚の透過を解除して床に足をつける」

エマ「へえ」

センタ「最後にもう片方の足を透過させて壁をすり抜ければ全身が通り抜けることになる」

センタ「ちょっと透過を使ってみる」

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エマ、周囲を見回して人がいないことを確認して大きな布を自分とセンタにかぶせる

センタ、左足以外を透過させて左足に重心を置きながら右脚を壁の中にすり抜けさせる

センタ「・・・やっぱり大股一歩以上の厚さの壁だ」

エマ「どうしてわかるの?」

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センタ「すり抜けた方の足の透過を解除できないからさ」

エマ「え?」

センタ「透過させた体は何かと重なると、その部分だけ透過を解除できなくなるんだよ」

エマ「どういうこと?」

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センタ「たとえば、俺が右手と右腕を透過させて地面に右手だけをつっこんだとする」

センタが右手を地面につっこんでいるイメージ

センタ「それで右手と右腕の透過を解除しようとする」

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右腕が丸マークの絵
センタ「すると、地面と重なっていない右腕は透過を解除できる」

右手がバツマークの絵
センタ「でも、地面につっこんでいる右手は土と重なっていて透過を解除できないんだ」

センタ(空気とかは重なっていても透過を解除できるけど)

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センタが壁に右脚をすり抜けさせて調べている姿を思い出すエマ

エマ「すり抜けた足の透過を解除できて床の感触があれば、大股一歩以下の厚さってわけね」

センタ「そういうこと」

エマ「地面に立った状態で下半身だけ透過させたらどうなるの?」

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センタ「たぶん下半身まで地面に沈んで下半身の透過を解除できなくなる」

エマ「たぶん?」

センタ「怖いから試したことないし、これまでの経験からそうなると思う」

エマ「そうなると、上半身だけを使って地面から抜け出さないといけないわね」

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センタ「誰からも助けを借りられない状況の場合はそうなるか」

エマ「じゃあ、全身を透過させて地面に沈んだら・・・」

センタ「地面の中に空洞がない限り透過を解除できず、ずっと下に落ち続けるんだろ」

エマ「怖いわね」

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センタ「絶対にそうなるのはごめんだ」

エマ「・・・透過させたい物に透過の性質をもたせることもできるわよね?」

センタ「基本その物に触れている間だけな。例外もあるけど」

エマ「例外って?」

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センタ「たとえば、手で握って透過させてる物が何かと重なってる状態だとする」
透過させたボールを握ってる右手を地面の中にセンタが入れている絵

センタ「その物を手から放しても、物に適用されている透過は解除されない」
センタ「そうなると、重なってる状態が解消されるまで透過が解除されず下に落ち続ける」
センタの右手から離れたボールの透過が解除されず、地面の中にボールが落ち続ける絵

エマ「壁に透過の性質をもたせればセンタは透過しなくてもすり抜けられるんじゃない?」

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センタ「物に対しては透過させる範囲を指定できないから、壁だと何が起こるかわからない」

エマ「というと?」

センタ「壁が地面に沈んで建物が崩れるかも・・・」

エマ「なるほど。それじゃあ、プランBでいくしかないわね」

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歩き始めるエマとセンタ

エマ「透過って、よくわからない能力ね」

センタ「俺だって未だにわからないことだらけだよ」

センタ(透過できないものや透過できない場合もあると思うし・・・)

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エマ「着ている服ごと自分の体を透過しても、服が体から落ちることもない」

センタ「服と体に同時で透過の性質をもたせた場合はね」

エマ「首だけ透過させても頭が落ちることはないんでしょ?」

センタ「まあね。俺もどうしてそうなるのかはわからない」

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エマ「・・・仮に今ここで直径100メートルの爆発が起きたらセンタはどうなるの?」

センタ「足元が地面じゃ、全身透過ができないから、足だけは爆発の餌食になるだろうな」

エマ(つまり、センタは無敵じゃないってことね・・・)

エマ(万が一この先センタが敵になった時に利用できる情報だわ)

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○車内(夕方)

携帯でリザールの場所を確認しているエマ

エマ「もうそろそろ家に着くわ」

センタ「OK。じゃあ始めるよ」

透明化と透過を使用して車を降りるセンタ

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〇豪邸 玄関(夜)

リザールが玄関のドアを開ける

透明化と透過を使用したセンタ、ビデオカメラを持ってリザールのあとをついていく

〇豪邸 一室(夜)

中央に立っているリザール
リザールの背後に立っているセンタ

リザールがリモコンを操作すると壁がスライドし始める

センタ「!」

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隠し部屋が現れる

センタ(エマの予想通り・・・隠し部屋だ)

リザールが部屋の中に入っていく

センタも続いて入ろうとするが、すぐに動きを止める

センタ「!」

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無残な姿になった男の死体をひきずりながら出てくるリザール

センタ(犯人確定だ!)

リザール「こいつは念入りに解体してやる」

センタ(死体を保管してるのか・・・)

手で触れて透明化させたままのビデオを棚に置き、撮影を開始するセンタ

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死体を解体していくリザール

センタ(っ・・・)
正視できないような表情で顔を背ける

リザール「あの時は、よくも!」
恨みを晴らすように解体しているリザール

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〇車内(夜)

運転席に座っているエマ、豪邸を見つめる
エマ(指示通りに動けてるかしら・・・)

突然、透明化を解除したセンタの姿が現れる

エマ「きゃっ!」
驚いた表情になるエマ

エマ「透明化を解除する時は合図してって言ってるでしょ?」

疲れた表情で宙を見つめているセンタ
センタ「・・・」

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エマ「・・・証拠を手に入れたの?」

センタ「ああ、死体を保管してたみたいだ」
ビデオカメラをエマに渡すセンタ

リザールが死体を解体する映像を確認しているエマ

エマ(やった! これで、迷宮入りの未解決事件を解決した実績ができる!)
嬉しそうな表情のエマ

センタ(・・・最悪の気分だ)
疲れた表情のセンタ

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〇警察署 廊下(翌日の朝)

エマの後ろをついて歩くセンタ

エマ「裁判の準備は整った。あとは法廷に引きずり出すだけよ!」
嬉々とした表情で歩いているエマ

疲れたような表情でエマの後ろを歩くセンタ

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〇警察署 申請室(朝)

リザールを逮捕する手続きを夢中になってしているエマ

エマの後ろで立っているセンタ

フラー、こっそりと近寄って背後からセンタの肩を軽く叩く

振り返るセンタ
センタ「!」

人差し指を口元にあてて微笑むフラーの姿

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フラー、センタに携帯電話の画面を見せる

『エマには内緒で声を出さずについてきてください』という文が画面に打ち込まれている

センタ「・・・」

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〇警察署 トイレ近くの廊下(朝)

無言で歩くフラーについていくセンタ

立ち止まって振り返るフラー

センタも立ち止まる

フラー、センタの体の周りに簡易探知機を当てる

センタ「?」

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ピピっと音がしたセンタの携帯電話を手に取って確認するフラー

フラー「隠しカメラや盗聴器はつけられてないですけど・・・」

センタ「・・・」

フラー「携帯電話に発信機が仕掛けられていますね」

センタ「!?」

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フラー「電源を切っていても居場所がわかるようにするためでしょう」

センタ「あいつ・・・」

フラー「発信機のことはエマに言わないでください」
フラー「さらに警戒されちゃいますから」

センタ「でも・・・」

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フラー「たぶん、センタさんが捕らわれの身になった時のためだと言いますよ」

センタ「・・・」

フラー「それにエマの裏をかくことにも利用できるので」

センタ「?」

フラー、センタに自分の携帯電話を渡す

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フラー「裁判が始まる直前にトイレに寄って個室からこの携帯でメールしてください」

センタ「今、話せばよくないですか?」

フラー「そろそろエマがこっちに来ちゃいます」

センタ「!」

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フラー「エマにはトイレに行ってたとでも言ってください」

センタ「わかりました」

〇警察署 廊下(朝)

焦った表情で走っているエマの姿