異世界に転生して二年が経過した。
二歳となった僕はそれなりに自由に歩けるようになった。
「はぁ……ユウマったら目を離すとすぐにどっかに行っちゃうの……」
「がーはははっ! 元気な証拠じゃないか! これは良い事だぞ!」
「そうなんですけど…………ユウマって隠れるのも上手でたまに見つけられないんですよ。私でも」
「ほお! セリアに見つからないなんて、才能に溢れているな! きっと素晴らしい才能を貰えるに違いない!」
お父さんとお母さんが僕の事で話し合っているが、実を言うと一歳になった頃、あまりにも暇すぎて家中を探検し始めた。
驚いたことに赤ちゃんの体って無尽蔵な体力を誇っていた。
というのは冗談で、恐らくお母さんとお父さんのスキルのおかげだと思われる。
お母さんに続いてすぐにお父さんとも絆が最大になり、お父さんのスキルを全部複製しているようで、それから体の奥からとんでもない力がうごめくのが分かる。
うちは意外にも裕福な家のようで、家に書斎があったりと余裕がある時は本を読んだりするが、それはまだ両親には見つかっていない。
というのも、体を透明にする事ができて、こっそり書斎で本を読んだりする。
これもスキルのおかげのようで、まだ使い方はよく分からないけど、僕の意識に連動して発動してくれるので大助かりだ。
こうして二歳にしては赤ちゃんと思えない程の生活を送っている。
中には眠りに関するスキルがあるようで、一度天の声さんから【スキル『睡眠耐性』による睡眠蓄積が限界値に到達しました。】と言われたりした。
スキル『睡眠耐性』は自然眠さを蓄積させる事ができて、限界が三日分であり、蓄積した分を一気に消化すると三日くらい眠ったようだ。
以前三日も眠った後、起きた僕を抱きしめて泣きじゃくるお母さんがいて、三日も起きなくて何かしらの病気かも知れないとものすごく心配していたようだ。
あれから睡眠耐性は使わないようにしている。
赤ちゃんが三日間も起きず眠っていたら、そりゃ心配するよね…………お母さんには悪い事をしたと思ってる。
いかんせん検証をしないとスキルを把握する方法がなくて、検証のために限界まで蓄積させてみたら、結果的にああなってしまった。あの時の事は今でも反省しているので、不穏なスキルは検証しないようにしている。
と言っても僕が持っているスキルにどういうものがあるのか全く分からず、たまたまスキル『睡眠耐性』という天の声さんの声から知っただけだ。
あとはスタミナ上昇などのスキルがあるのは知っているが正確にどれくらいの数を覚えているのかはまだ分からない。
もしかして、異世界の人ってスキルを持っているのが当たり前なのかも知れない。
「貴方! 才能をあまり軽々と話してはいけませんよ!」
「おっと! す、すまん……」
「誰しも平等に与えられる才能です。もしかしたらユウマは才能を貰えないかも知れませんから。過度な期待はいけません」
「そ、そうだな…………ただ、俺からすれば、セリアの探索から逃れるユウマが才能なしになるとは、とても思えないがな……」
「それはそうですけど……人の未来ってどうなるか誰にも女神様でも分かりませんから。だからこれからも過度な期待はしないようにしてくださいね!」
なるほど。才能を貰えない人もいるのか。
異世界では十歳になる年になった時、女神様の祝福が与えられ、才能を授かる人がいると聞いていた。
ただ、授かれない人もいるとは聞いてなかったので、お母さんが話した事が本当なら授かれない可能性があるのか。
まぁ、転生ギフトを貰っている身なので、これ以上求めはしない。
それに貧乏な家に生まれて沢山の妹弟に囲まれて生活するものだとばかり想像していたのに、まさか転生した家は裕福でお父さんお母さんも優しく――――妹弟ではなく、兄が一人いる生活を送るとはね。
座ってボーっとしている僕の前に座って、じーっと見つめるのは、僕の三つ上の兄であるクレイ・ウォーカーだ。
異世界は苗字が後ろに来るみたいで、うちはウォーカー家になる。
お父さんはグレン。お母さんはセリア。兄はクレイ。僕はユウマだ。
偶然なのか、前世と同じ名前なので、名前を呼ばれたら違和感なく振り向けるのは助かる。
「ユウマ?」
「あい?」
「かわいい」
右手を伸ばした兄が僕の頭を優しく撫でてくれる。
兄も心優しく、ずっと僕に付きっきりで愛を注いでくれている。
ただ絆が繋がったりしないのは、恐らく兄もまだスキルを獲得していないからだと思う。
お父さんの話では、お兄さんも素晴らしい才能を持っているようで、才能を得る前だというのに、既に剣術の練習を行っているそうだ。
これで魔法まで使えるようになったら、とんでもない天才らしい。
そう。
実は異世界にはスキルとは別に『魔法』というモノが存在する。
魔法は自身が持つ魔素を具現化した際に呪文やスキルなどを経由して形を作って発現させる事を魔法というみたい。
書籍に書かれていた言葉が難しくてイマイチ理解できてないが、要は魔法の才能があれば魔素を使って魔法を使えるようになるみたい。
魔法にはいくつかの属性に分かれて、才がある属性しか扱えないらしい。
属性は九つあるという。
火属性、水属性、風属性、土属性の四大属性があり、上位属性と呼ばれているのが、水属性と風属性の上位属性の雷属性。水属性と土属性の上位属性の氷属性がある。
この六つを自然属性と言い、自然属性に属さない属性が三つ存在していて、光属性と闇属性、無属性が存在する。
二歳となった僕はそれなりに自由に歩けるようになった。
「はぁ……ユウマったら目を離すとすぐにどっかに行っちゃうの……」
「がーはははっ! 元気な証拠じゃないか! これは良い事だぞ!」
「そうなんですけど…………ユウマって隠れるのも上手でたまに見つけられないんですよ。私でも」
「ほお! セリアに見つからないなんて、才能に溢れているな! きっと素晴らしい才能を貰えるに違いない!」
お父さんとお母さんが僕の事で話し合っているが、実を言うと一歳になった頃、あまりにも暇すぎて家中を探検し始めた。
驚いたことに赤ちゃんの体って無尽蔵な体力を誇っていた。
というのは冗談で、恐らくお母さんとお父さんのスキルのおかげだと思われる。
お母さんに続いてすぐにお父さんとも絆が最大になり、お父さんのスキルを全部複製しているようで、それから体の奥からとんでもない力がうごめくのが分かる。
うちは意外にも裕福な家のようで、家に書斎があったりと余裕がある時は本を読んだりするが、それはまだ両親には見つかっていない。
というのも、体を透明にする事ができて、こっそり書斎で本を読んだりする。
これもスキルのおかげのようで、まだ使い方はよく分からないけど、僕の意識に連動して発動してくれるので大助かりだ。
こうして二歳にしては赤ちゃんと思えない程の生活を送っている。
中には眠りに関するスキルがあるようで、一度天の声さんから【スキル『睡眠耐性』による睡眠蓄積が限界値に到達しました。】と言われたりした。
スキル『睡眠耐性』は自然眠さを蓄積させる事ができて、限界が三日分であり、蓄積した分を一気に消化すると三日くらい眠ったようだ。
以前三日も眠った後、起きた僕を抱きしめて泣きじゃくるお母さんがいて、三日も起きなくて何かしらの病気かも知れないとものすごく心配していたようだ。
あれから睡眠耐性は使わないようにしている。
赤ちゃんが三日間も起きず眠っていたら、そりゃ心配するよね…………お母さんには悪い事をしたと思ってる。
いかんせん検証をしないとスキルを把握する方法がなくて、検証のために限界まで蓄積させてみたら、結果的にああなってしまった。あの時の事は今でも反省しているので、不穏なスキルは検証しないようにしている。
と言っても僕が持っているスキルにどういうものがあるのか全く分からず、たまたまスキル『睡眠耐性』という天の声さんの声から知っただけだ。
あとはスタミナ上昇などのスキルがあるのは知っているが正確にどれくらいの数を覚えているのかはまだ分からない。
もしかして、異世界の人ってスキルを持っているのが当たり前なのかも知れない。
「貴方! 才能をあまり軽々と話してはいけませんよ!」
「おっと! す、すまん……」
「誰しも平等に与えられる才能です。もしかしたらユウマは才能を貰えないかも知れませんから。過度な期待はいけません」
「そ、そうだな…………ただ、俺からすれば、セリアの探索から逃れるユウマが才能なしになるとは、とても思えないがな……」
「それはそうですけど……人の未来ってどうなるか誰にも女神様でも分かりませんから。だからこれからも過度な期待はしないようにしてくださいね!」
なるほど。才能を貰えない人もいるのか。
異世界では十歳になる年になった時、女神様の祝福が与えられ、才能を授かる人がいると聞いていた。
ただ、授かれない人もいるとは聞いてなかったので、お母さんが話した事が本当なら授かれない可能性があるのか。
まぁ、転生ギフトを貰っている身なので、これ以上求めはしない。
それに貧乏な家に生まれて沢山の妹弟に囲まれて生活するものだとばかり想像していたのに、まさか転生した家は裕福でお父さんお母さんも優しく――――妹弟ではなく、兄が一人いる生活を送るとはね。
座ってボーっとしている僕の前に座って、じーっと見つめるのは、僕の三つ上の兄であるクレイ・ウォーカーだ。
異世界は苗字が後ろに来るみたいで、うちはウォーカー家になる。
お父さんはグレン。お母さんはセリア。兄はクレイ。僕はユウマだ。
偶然なのか、前世と同じ名前なので、名前を呼ばれたら違和感なく振り向けるのは助かる。
「ユウマ?」
「あい?」
「かわいい」
右手を伸ばした兄が僕の頭を優しく撫でてくれる。
兄も心優しく、ずっと僕に付きっきりで愛を注いでくれている。
ただ絆が繋がったりしないのは、恐らく兄もまだスキルを獲得していないからだと思う。
お父さんの話では、お兄さんも素晴らしい才能を持っているようで、才能を得る前だというのに、既に剣術の練習を行っているそうだ。
これで魔法まで使えるようになったら、とんでもない天才らしい。
そう。
実は異世界にはスキルとは別に『魔法』というモノが存在する。
魔法は自身が持つ魔素を具現化した際に呪文やスキルなどを経由して形を作って発現させる事を魔法というみたい。
書籍に書かれていた言葉が難しくてイマイチ理解できてないが、要は魔法の才能があれば魔素を使って魔法を使えるようになるみたい。
魔法にはいくつかの属性に分かれて、才がある属性しか扱えないらしい。
属性は九つあるという。
火属性、水属性、風属性、土属性の四大属性があり、上位属性と呼ばれているのが、水属性と風属性の上位属性の雷属性。水属性と土属性の上位属性の氷属性がある。
この六つを自然属性と言い、自然属性に属さない属性が三つ存在していて、光属性と闇属性、無属性が存在する。