僕の左腕に天使が宿った【シナリオ】

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⚪︎酒場の中のテーブル席にて 男女4人が座っている。

ギルツ「よし、みんな明日はビオルのクエストデビューだ!よろしく頼むよ」

メイとドス「おぉっ!」

ビオル「だ、大丈夫かな。僕入ったばかりだし、今まで雑用っていうか、ずっと留守番で戦ったことなんてないし・・・」

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ギルツがビオルの肩を組む。

ギルツ「心配するなって、今回行くのは"町から少し離れた場所にある遺跡の地下から夜な夜な聞こえてくるうめき声と謎の揺れの調査"だからさ」

ビオル「大丈夫かなぁ、それってギルドを通していない依頼でしょ?」

メイが元気よく手を上げる。

メイ「そう!この仕事は私が直接貰ってきたんだよ、褒めて!」

ドス「さすがメイ!」

ギルツ「天才!」

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ビオル「それって誰からの依頼なの?」

メイ「なんかね、薄暗い森の中で黒いフードのおじいちゃんから受けた」

メイが依頼書を机に置く。

ビオル「大丈夫かな。報酬はそのおじいさんから貰うってこと?」

メイ「ううん、報酬はないんだけど遺跡にあるものは全部持っていっていいんだって。これが地下へと鍵」

メイは鍵を置く。

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ドス「まぁ、お前のデビュー戦がメインだからな。そこら辺はあまり期待しないでおこう」

ギルツ「それにほら!」

ギルツが依頼書を指差す。

ギルツ「"とっても簡単なお仕事です"って書いてあるし」

ビオル「隣にちっちゃく"多分"ってあるけど・・・」

メイ「今までクレームも言われたことないってあのおじいちゃんも言ってたし!」

ビオル「大丈夫かなぁ」

ドス「まあ、もし何かあっても・・・」

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ドス、メイ、ギルツらが決めポーズをとる。

ドス、メイ、ギルツ「俺(私)たちがついてるから!」

3人のポーズを見てビオルは笑顔になる。

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ビオル「みんなが一緒なら大丈夫な気がする。こんな僕ですが、よろしくお願いします」

頭を下げるビオル。

ドス「良かった、うまくいったな」

ギルツ「ポーズの練習した甲斐があったぜ」

メイ「私たち頑張ったんだよ、褒めて!」

4人は賑やかな夜を過ごす。

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⚪︎次の日、遺跡の前へとついた4人

ギルツ「よしっ、地下への入り口を探すか。・・・にしても」

ギルツが視線を向けた先には武器や鎧、道具など重装備のビオルの姿があった。

ギルツ「すごい装備だな、大丈夫か?」

ビオル「大丈夫。このぐらいの装備はあった方がいいかなって」

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ドス「無理はするなよ。ヤバイと感じたら俺らを呼べ」

メイ「なんかあったら私の魔法でちょいちょい〜ってやっちゃうから」

ビオル「うん、わかった」

遺跡から謎の影が現れる。

ドス「どうやら、敵のようだな」

ビオル「ウッ」

身構えるビオル。

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影の正体は小柄なビオルよりもさらに小さいゴブリンだった。

ビオル「ほっ、なんだゴブリン一体か・・・」

ゴブリンが叫び声を上げる。すると遺跡の影から大小様々なサイズの大量のゴブリンが姿を出す。

ビオル「うあああ!いっぱいいるぅー!」

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動揺するビオル。それに対してギルツは剣をとり、ドスは拳を構えて、メイは杖を構える。

メイ「これだけ?やっぱり簡単な仕事ね」

ギルツ「よしっ、やるか!」

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襲いくるゴブリンを剣でなぎ倒すギルツ。

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襲いくるゴブリンを鍛えた筋肉で倒すドス。

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襲いくるゴブリンを魔法で退治するメイ。

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ビオル「す、すごい・・・。並の戦士なら数十名でやっと倒せるのをたった3人で圧倒してる」

ビオルが圧倒されている間に、魔物は3人によってほとんど倒された。

ビオル(3人の戦闘を見るのは初めてじゃないけど、やっぱりすごいなぁ)

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3人の攻撃を逃げるように掻い潜った一体の小さなゴブリンがビオルの前に現れる。

ビオル「うわっ」

驚きながらも慌てて持ってきた鍋を手に構える。

ゴブリンが手に持った木の棒を振りかざす。ビオルは鍋で頭を覆い攻撃を受ける。

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ゴブリンとビオルはそれぞれ座り、待ってた鍋と木の棒を前に置く。

ビオル「ジャンケンぽん!」

ジャンケンの結果、ゴブリンの勝ちだったので、ゴブリンが木の棒をとり頭を叩こうとするがビオルは鍋でそれを阻止する。

ビオル「ジャンケンぽん!」

またゴブリンが勝ったので木の棒で叩こうとするもこれもまた鍋で阻止。

ビオル「ジャンケンぽん!」

またゴブリンが勝ったが、ビオルは木の棒でコツンとゴブリンの頭を叩いた。

小さなタンコブができたゴブリンは怒る。

ビオル「ご、ごめん。あんまり君ばっか勝つからつい・・・」

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怒りが収まらないゴブリンは木の棒と鍋を両方とると、再度ビオルに襲いかかる。

ビオル「うわぁ!それはルール違反だー!」

手で顔を覆うビオル。

ゴブリンに電撃が走り、そのまま倒れる。

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メイ「ビオル、大丈夫?」

メイがビオルの元へ駆け寄る。

ビオル「ありがとう、メイ」

メイ「褒めて!」

ビオル「助かったよ」

メイ「褒めて!」

ビオル「すごい魔法だったよ」

メイ「もっと"かわいい!"とかで褒めて」

ビオル「かわいいと思うよ」

メイ「知ってる!でもありがとう!」

ドスとギルツ「大丈夫かー?」

ドスとギルツがビオルとメイに合流する。

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全ての魔物が3人によってやられてそこらじゅうに伸びている。

ビオル「すごい、たった3人でやっちゃうなんて・・・」

メイ「このくらいならどうってことないわ」

ギルツ「楽勝だぜ!」

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うつむくビオル。

ビオル「それに比べて僕は一体も倒せなかった・・・」

ドスがビオルの頭に手を置く。

ドス「いいさ、今はそんなもんだ」

ビオル(僕は彼らと並ぶことができるだろうか・・・)

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⚪︎遺跡を調べる4人

ギルツ「おーい、みんな来てくれ」

ギルツの所に集まる3人。

ドス「せーのっ」

ドスが大きな岩をどかすと、隠し通路が現れる。ビオルが小さくありがとうという。

ギルツ「おお・・・」

メイ「隠し通路ね」

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⚪︎隠し通路は薄暗く、開けた場所になっている。

地面に扉を見つけ、しゃがんでその扉を触るメイ。

メイ「この扉、超強力な魔法にかけられてる。こじ開けるのは無理ね」

ギルツ「よしじゃあ頼むぜ」

ビオル「わかった」

鍵を取り出し、扉に近づくビオル。

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ビオル「それじゃあ、クエストでの初仕事、いきます」

他の3人が見守る中、鍵を鍵穴に入れ、ゆっくりと回す。

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扉から光が溢れ出す。

ドス「おお」

メイ「すっごい魔力・・・」

ギルツ「ビオル、大丈夫か?」

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扉からの声「鍵および素質を確認、最奥へ入る事を許可します」

扉が勢いよく開き、ビオルが吸い込まれるように落ちる。

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メイ、ドス、ギルツ「ビオル!」

3人が手を伸ばすも間に合わず、ビオルは暗闇の中へ消え、扉が閉じる。

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⚪︎暗闇の中

ビオルは意識を失う。

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⚪︎お花畑の中

目を開けるビオル。

ビオル「あれ、ここは・・・」

小さいが妖精がビオルの目の前を飛んでいる。

妖精「あ、起きた」

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ビオル「君は・・・?ここは一体・・・?」

妖精「僕は妖精」

ビオル「ここってまさか天国?僕死んだの?」

妖精「いや、君はまだ死んでない。そして突然で悪いんだけど、助けてくれないか」

ビオル「え、どういうこと?」

妖精「ここはね、一言で言えば僕が住んでいる場所なんだけど、君みたいに迷い込んできた大天使がいるんだ」

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ビオル「はあ」

妖精「だけどうるさいし態度もでかいから正直出ていって欲しいんだよね。だから君が一緒に彼女を連れて行って欲しいんだ」

ビオル「えっ、そんな急に言われても」

妖精「お願い、あいつマジで出て行く気無さそうなんだ。それに君も元いた場所に戻れるかも」

懇願する妖精に少し不安を覚えるビオル。しかし他にどうしようもないため、妖精の申し出を受ける。

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⚪︎お花畑を歩く妖精とビオル

妖精「いやー良かったです。あなたが来てくれて。あいつ妖精使いが荒くて嫌でしたから。このまま連れて行ってくれると嬉しいなー」

大きな影の前で立ち止まる妖精とビオル。

妖精「コロンさん、人間を連れてきました」

コロン「おぉ、久しぶりの人間か」

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山のように大きいコロン

コロン「待ってたぞ」
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⚪︎お花畑にて

ビオル「で、でかい・・・」

目の前の天使コロンに圧倒されるビオル。

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コロンはその大きな手で一帯のお花をむしりとり、花のにおいを嗅ぐ。

妖精「ああ、せっかく植えたのに・・・」

コロン「ふぅ、あなたもここに迷い込んだのかしら?」

見れば見るほど年齢がわからない、その上謎の魅力をコロンに圧倒されるビオル。

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コロンを見上げるビオル。

ビオル「あの、ここは一体どこなんですか?」

妖精「ここオレん家!」

コロン「ここは、あなたが居た場所とは少し違う場所で、私が封印されている場所。いわば牢獄みたいなものね」

妖精「いや、俺ん家なんだけど」

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ビオル「僕は知らないおじいさんから鍵をもらってここへ来たんだ」

コロン「・・・ああ、なるほど」

コロンがビオルの手を見つめる。

コロン「いいわ、あなたがここから出るのに協力してあげる」

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ビオル「えっ・・・」

話の展開の早さに驚くビオル。

妖精「コロンさん、もうちょっと説明してあげてくださいよ」

コロン「そうね、突然で悪いけど私の話をしていいかしら」

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⚪︎コロンの回想

⚪︎遥か空の上の世界

コロンを含めた天使たちが喧嘩をしている。

爺天使「こら、やめんか」

爺天使が止めようとするもまた喧嘩する天使たち

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爺天使「んもおおお、怒った!」

怒りをあらわにする爺天使にびっくりする天使たち

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爺天使「お前ら、しばらく反省してろ」

爺天使が杖を振るうと、喧嘩していた天使たちがそれぞれ別の方向へ飛ばされる。

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⚪︎飛ばされ、空を落下するコロン

コロン「えぇー、うっそぉ。これどうなるの?」

爺天使がコロンに直接語りかけてくる。

爺天使「お前らにはそれぞれ下界のとある場所でしばらく反省してもらう」

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爺天使「それで反省した頃合いを見て人間とかをそちらに送り込む。その者とともに牢獄から出て、下界で人と人とが協力する様子を学ば、人を助けなさい」

⚪︎回想終わり

コロン「多分、その人間があなたね、一目でわかっちゃった」

メイが言ってた鍵を渡したあのおじいさんが天使の使いだったのかな、と考えるビオル

コロン「だから、あなたが私を受け入れてくれるならここから一緒に脱出させてあげる」

ビオル「受け入れる?」

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コロン「今の私は単独で人の世界にはいられないの。だからあなたの体の一部に間借りして一緒にここを出る」

ビオル「体の一部にってどこ?」

コロン「私、さっきからあなたの体を見てたんだけど、なかなか綺麗な手しゃない」

コロンがビオルの左腕を見る。

コロン「だから左腕!どうかしら?」

ビオルは自分の左腕を見つめる

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妖精「絶対受けるべきだよ。彼女と一緒に出るべきだ。てゆーか、こんなやつ早くこっから連れていってくれ!」

コロンが大きな手でたくさんのお花をむしりとる。

妖精「ああ!せっかく植えたのに!」

ビオル「まあ、この牢獄から出られるならいいかな」

妖精「俺ん家なんだけど」

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ビオルが左手を差し出す

コロン「成立ね」

コロンが笑う

コロン「あ、あと私の力を一部を使えるようになる特典付きよ」

ビオル「力?」

コロン「ま、それはあとからのお楽しみ」

コロンがビオルの手を握る

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コロン「我、天使コロンは牢獄で出会った運命の人と共にここを出て人の世界で学び、人の助けになろう」

妖精「ここ俺ん家なんだけど」

コロンとビオルが光りだす

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⚪︎酒場のテーブル席

メイ、ギルツ、ドスの3人が泣いている

ギルツ「うおおお、どこ行ったんだビオルぅ」

ドス「全然見づがらないぃ」

⚪︎3人の回想

ビオルがいなくなったあと、ひたすら探したが見つからなかった

⚪︎回想終わり

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メイ「わだじがあんなじごどみづげなげればぁぁ」

ギルツ「よじ、お前ら明日もっがいざがじにいぐぞぉ」

ドス「ゔじっ!」

メイ「ぎょゔはもう寝よう!」

泣いている3人の前に人影が現れる

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ビオル「ただいま」

ビオルの顔を見て驚き、抱きつく3人

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ビオル「ビオルっ、良かった!」

ドス「ごめんなぁ、1人にして」

メイ「もう離さないからぁ!」

ビオル「ごめんなさいみんな、心配かけて」

ギルツ「俺ら心配で心配で・・・」

メイ「ご飯も喉通らなかったんだからぁ」

ビオル「みんな・・・」

3人が座ってたテーブルを見るビオル

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たくさんの料理の入った食器がテーブルの上に置かれている

ビオル(結構食べてるじゃん)

テーブルにはチーズフォンデュも置かれている

ビオル(あれフーフーしないと食べれないやつじゃん。むしろ楽しんでんじゃん)

自分で作るタイプの手巻き寿司もある

ビオル(楽しんでんじゃん)

タワーのように積み上げられたグラスもある

ビオル(楽しんでんじゃん!)

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心配そうにビオルを見るドス

ドス「大丈夫か、怪我はないか?」

ビオル「大丈夫だけど、うっ・・・」

メイ「どうしたの!?」

左腕をおさえるビオル

ビオル「ちょっと左腕が・・・」

ギルツ「見せてみろ!」

ビオルの綺麗なひだりうで見るギルツ

ギルツ「特になんとも無さそうだが・・・」

ビオル「ケガは無いんだけどちょっと左腕が、」

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ビオル「うずくんだ・・・」

突然の発言に驚く3人

ドス「痛いってことか?」

ビオル「いや、実は僕の左腕に・・・」

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ビオル「天使が宿ったちゃって、そいつが暴れたがっているんだよね」

困惑する3人

ドス(行方不明になった仲間が)

メイ(帰ってきたと思ったら)

ギルツ(なんだか)

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ギルツ、メイ、ドス(大変なことななっている・・・!)
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⚪︎ギルツ、メイ、ドスの回想

ギルツ(俺たちは3人でいつも仕事をこなしていた。結構あちこち行って魔物を倒したりよくわからんけど高そうな石を見つけたりしてた。とにかく3人で楽しく過ごしていた)

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メイ(だんだん強くなって実力もついてちょっと町で有名になっていった。そうしたら私たちの仲間になりたいと言ってくる人も出てきた。最初はもちろん嬉しかった。仲間が増える、もっと楽しくなるかもって)

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ドス(でもそうはならなかった。仲間が増えるにつれて、変なことをするやつもいた。最初はヘコヘコしていたくせに俺たちの名前を出して威張り散らすやつ、適当に理由をつけて町の人からお金を取ろうとするやつ、誰がこの町で1番強くて偉いかという話に勝手に俺らの名前を使うやつ。そんな奴らのせいで、息苦しくなっていた。)

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ギルツ(それが嫌になってパーティを解散、持ってた金のほとんどを迷惑かけた町の人たちに寄付し、離れた町で3人でやり直すことにした)

⚪︎酒場のテーブルにいる3人

ギルツ「次新しい仲間を入れるときは強さは関係なしで、いい奴にしよう!」

ドス「そうだな」

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そんなある日、息を切らしたメイが酒場にいるギルツのところへ走ってくる

メイ「聞いてっ、めっちゃ、いい子がいた!」

ギルツ「落ち着け、どういうことだ?」

メイ「道に迷ってたら、銀髪のちょっと若い男の子が案内してくれて、しかも荷物も持ってくれた!」

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メイ「仲間にしよう!」

ギルツ「まあ待て、持論だが女に優しくする男は珍しくない」

メイ「えー、でもとっても優しい雰囲気の子だったのに」

ギルツ「見た目に騙されちゃあいかんぜよ」

ドスが走ってやってきた

ドス「道に迷ってたら案内してくれた、銀髪の超いい子がいた!」

ギルツ「よーし、お前らそいつを連れて来い!仲間にする」

外へ出ていくドスとメイ

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ビオルの困惑する声と共に彼を抱えたドスとメイがギルツの元へ戻る

ビオル「あのこれは・・・」

ギルツ「俺はギルツ。君、名前は?」

ビオル「ビオルです・・・」

ギルツ「ビオル、急にこんなことをしてすまない。ただ、仲間が助けられたと聞いてね。突然だが、冒険者として俺らの仲間になってくれないか?」

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ビオル「仲間・・・?」

驚くビオル

ビオル「でも僕は強くないし、今までの記憶がないから、色んなパーティから追放されてきました」

⚪︎追放された日々を思い返すビオル

ビオル「ですから、みなさんの役に立てるかどうか・・・」

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ギルツ「問題ない。俺らは楽しくやれればいいし、ちょっとずつ強くなればいいからな」

ビオル「ちょっとずつ・・・」

ギルツ「やってくれるか?」

メイ、ドス、ギルツがビオルに手を出す

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ビオル「よろしくお願いします」

ギルツの手を取るビオル

メイ「私とも握手ひてー」

ドス「俺も」

ビオル「あ、はい」

慌ててメイとドスとも握手するビオル

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ギルツ(その後は4人で楽しくやってた。でもつい先日、4人でいった遺跡でビオルが1人はぐれてしまった)

⚪︎回想終わり

⚪︎酒場で泣くメイ、ギルツ、ドス

ギルツ(そんで3人でオイオイ泣いてたら)

ビオル「ただいま」

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3人の前に現れるビオル

ギルツ(帰ってきたんだよ、ビオルが)

泣きながらビオルに飛びつく3人

ドス(帰ってきた)

メイ(帰ってきたんだけど)

左手をおさえるビオル

ビオル「ごめん、今ものすごく・・・」

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ビオル「左手の天使がうずくんだ・・・」

ギルツ、メイ、ドス(なんか大変なことになってる!)

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⚪︎夜、宿のベッドで横たわるビオル

ビオル「なんか、勘違いされている気がするんだけど」

コロン「仕方ないさ」

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ビオルの腕からコロンが出てくる

コロン「私のことが見えるのは素質のある者だけだからねえ」

ビオル「あんまり腕の中で暴れないで欲しいな」

コロン「久しぶりに外に出たから少しぐらい暴れてみたいさ。私の力使わないかい?」

ビオル「やだよ、怖いもん。ってゆうか、見える素質って何?」

コロン「まあ、主に若い奴にしか見えないのさ」

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ビオル「ふーん、まあいいや、今日は疲れたし、眠ろう」

毛布を被るビオル

コロン「ねえ、もう眠った?」

ビオル「眠った」

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⚪︎次の日の朝 町の広場

ギルツ、メイ、ドスの3人が集まっているところにビオルが到着

ビオル「ごめんなさい、左腕が暴れるのをおさえるのに時間かかっちゃって」

ドス「今日は予定変更だ。お前のケガの治療しに行くぞ」

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ビオル「えっ、じゃあ拾った石だけで作る新時代のファッションの仕事は・・・?」

メイ「あれはキャンセルしたよ」

ギルツ「お前の身体が心配だからな。というわけで、行ってみよう!」

⚪︎町医者に移動

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ビオルを診る医者

医者「うむ」

ギルツ「どうっすか、左腕とか大丈夫ですか?」

ビオル「うっ」

左腕をおさえるビオル

医者「うん、大丈夫でしょ」

メイ「本当になんともないの?」

医者「綺麗な腕だよ、大切にしなさい」

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⚪︎外に出る4人

ドス「まだ良くならんか?」

ビオル「うっ、ごめんまだ・・・。でも大丈夫、自分でなんとかするから」

ギルツ「バカやろう、仲間が苦しんでいるのにほっとけるかよ!」

メイ「あっ、そうだ。町から離れたところに教会があったはず。そこに行ってみようよ!」

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⚪︎町はずれの教会

教会の女性に左腕を見てもらうビオル

メイ「どうですか?」

女性「うーん・・・」

困った顔で左手をおさえているビオルを見る女性

ビオル「うわっ、超うずく!」

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困った挙句、とりあえずビオルを抱きしめる女性

女性「どうですか、治りましたか?」

ビオル「すみません、まだちょっと・・・」

女性「そうですか・・・別の者に代わりますね」

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女性と入れ替わって男性がやってきてビオルを抱きしめる

男性「どうですか?」

ビオル「ごめんなさい・・・」

男性「別の者に代わりますね」

全ての教会の人にハグされるビオル、しかし誰も彼の左手のうずきを止められなかった

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女性「まぁ、一時的なものだと思いますよ!」

⚪︎教会の外

ギルツ「ダメだったか」

ドス「自然に良くなることを願うしかないか」

メイ「きっと大丈夫よ、それにほら」

ビオルが通りすがりの人に道案内をしている

メイ「ビオルの良さは変わらないわよ」

3人に合流するビオル

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ギルツ「よし!帰るか!」

あたりが暗くなる

ドス「なんだ?」

メイが空を見上げる

メイ「嘘でしょ・・・」

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ドラゴンが空を飛んでる

ギルツ「ドラゴンだ!」

ギルツ、ドス、メイが構える

ドラゴンが襲いかかる

ドラゴンの攻撃を受けるのに精一杯の3人

コロン「お、なんだいきのいいやつがいるじゃないか。我にもやらせろ」

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ビオルの左腕が電気を帯びる

ビオル「え、なに、何する気?」

左腕をおさえるビオル

コロン「しっかり狙え、チャンスは一回だ」

ビオル「え、なんか溢れてくる」

ビオルの腕がドラゴンを捉える

コロン「今だ、いけっ!」

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ビオルの腕から稲妻のようなものが出てドラゴンに直撃

ドラゴンが倒れる

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驚くメイ、ドス、ギルツ

意識を失うビオル

メイ、ドス、ギルツ「めっちゃすごいじゃん・・・」
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⚪︎宿のベッドの上で目覚めるビオル

左腕からコロンが出てくる

コロン「やっと起きたわね」

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ビオル「あれ、ここは・・・?確か僕は・・・」

ドラゴンに稲妻を当てたことを思い出すビオル

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ビオル「あれが、コロンの力なんだね。すごかった」

コロン「いや、我の力はこんなもんじゃないぞ。今は一回しかできないが、慣れてくれば二、三回はいけると思うわ」

じっと左腕を見つめるビオル

ビオル「ははっ、すごいや」

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コロン「私と契約してよかったでしょ?」

ビオル「はい」

左腕がうずかないことに気づくビオル

ビオル「あれっ、左腕がうずかない」

コロン「力を出したからよ、溜まってたものが出て行ったのね」

ビオル「そうだったんだ」

コロン「ちなみに、定期的に使わないと左腕がうずいてきて暴発しちゃうからね」

ビオル「え、そうだったの?」

コロン「昨日はほんとギリギリだったわ」

稲妻が町中で暴発するのを想像して冷や汗を流すビオル

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ビオル「はは・・・」

部屋に入るメイ

メイ「あっ、よかった起きた!みんな待ってるからおいで」

⚪︎酒場のテーブルに集まるビオル、メイ、ドス、ギルツ

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ギルツ「ビオル、昨日はすごかったぜ!」

ドス「なんたってドラゴンを倒したからな!冒険者のなかではちょっとした話題になってるぜ」

ビオル「え、そうなの?」

メイ「私はわかってたよ、左腕のうずきが本物って!」

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ギルツ「とまぁ、それは置いといて、ちょっと遅めだけど今日の夜ビオルの帰還祝いをやろうと思う!」

ビオル「えっ、大丈夫だよ」

ドス「そう言わずに、今日の夜を楽しみにしててくれ!」

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ギルツ「じゃあ、俺とドスは準備あるから、行ってきまーす!」

ギルツとドスが去る

メイ「じゃあ、私たちはその辺ブラブラしようか!」

ビオルを見る謎の少女の影

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⚪︎町を散策するメイとビオル

おじさんがビオルに話しかける

おじさん「おお、あんた」

ビオル「はい、道に迷いましたか?」

おじさん「いや、そうじゃない。あんたドラゴンを倒したんだろ?すげえな」

ビオル「え?ああ、はい」

周りの人が数人集まり、ちょっとした人だかりができる

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メイがビオルの手を持ち上げる

メイ「そうです、この子がドラゴンを倒しました!」

拍手が巻き起こる

ビオル「ちょっ、やめてよ」

おじさん「よっ、天才!」

メイ「そして、この子は私が育てました!」

拍手が再度起きる

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メイ「つまり私も〜?」

周囲の人「てんさーい!」

巻き起こる天才コールと恥ずかしがるビオル

先ほどビオルを見ていた少女が影から見ている

少女「やっぱりあれが・・・ぐっ」

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左目をおさえる少女

少女「左目が、うずく」

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しばらくして人々が解散し、ビオルも下される

ビオル「やめてよねもう、恥ずかしいんだから」

メイ「ごめん、もうやらないから」

ワゴンの肉屋のいい匂いを察知するメイ

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肉屋「今からぁ、ここでぇ、肉祭りだぁぁあ!」

人々「うおおおお!」

なだれ込む老若男女

メイ「肉祭りだって!行かない?」

ビオル「ごめん、ちょっと疲れちゃっからやめとく」

メイ「じゃあビオルの分もとってくるね」

雄叫びと共に突撃するメイ

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ビオル「ふぅ、疲れた」

人気のない場所で座るビオル

少女「ねぇ、ちょっと」

裏路地から少女が話しかてくる

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ビオル「はい、道に迷いましたか?」

少女「いや、道には迷ってないけど・・・」

少女が建物の影から出てくる

少女「あなたがビオル、左手がうずく少年ね?」

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ビオル「え?君は一体・・・?」

エリカ「私はエリカ、左目がうずく者・・・」
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ビオル「うずく、ってことはまさか!」

アーサム「そのまさかさ」

エリカの左目をおさえる手の隙間から煙が漏れ出す

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煙が男の人の形になる

アーサム「私はアーサム。エリカと共に牢獄を抜け出た天使」

ビオル「アーサム・・・」

コロン「おや、あなたなのね、アーサム」

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コロンがビオルの左腕から出てくる

アーサム「おや、あなたでしたか」

緊張が走る

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ビオル「あの、僕に話しかけのって・・・」

アーサム「少しご相談がありまして」

エリカ「わ、私に協力してください!」

頭を下げるエリィカ

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ビオル「協力?」

うつむくエリカ

アーサム「私から説明しましょう」

アーサムが話し出す

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⚪︎アーサムとエリカの回想

アーサム「少し前、ここから離れた場所で私はとらわれていました。そのときに彼女と出会い、おそらくあなた方と同じように一緒にそこを出たのです」

アーサム「私は特に何も考えずに彼女の目に宿りました。これは他の人と3秒目を合わせることで、相手にさまざまな効果をもたらすものです。しかし、問題が起きました」

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ビオル「問題?」

アーサム「そう、見ての通り彼女は」

エリカはうつむいている

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アーサム「彼女は人と目を合わせるのが苦手なのです!」

ビオル「確かに一回も目があってない・・・!」

アーサム「私とエリカが出会って一週間ほど経ちますが、まだ誰とも3秒目が合ってません」

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アーサム「ここままだと、力が暴発してしまいます」

ビオル「どうなるの?」

アーサム「おそらく、辺り一体が消し飛ぶでしょう」

青ざめるビオル

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ビオル「大変じゃん!」

アーサム「そうです、そこで私から説明するため、また私たちの状況を理解しているあなたにこうして話しさせてもらいました」

アーサム「お願いです、彼女と3秒目を合わせて欲しいのです」

ビオル「いいですよ」

エリカのうつむく顔を見るビオル

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ビオル「3秒みたら僕はどうなるの?」

アーサム「わかりません。プラスの効果だとは思いますが、完全にランダムです。エリカが使いこなせるようになればまた違うと思いますが」

ビオル「やってみてのお楽しみだね」

同じ背丈のビオルを前にしてうつむき続けるエリカ

アーサム「さぁ、彼の顔をみるのです」

エリカ「ムリ・・・」

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アーサム「あなたももう限界のはずです。さ、早く」

エリカ「急にそんなこと、ムリっ!」

ビオル「いいよ、ゆっくりで」

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⚪︎ベンチに座るビオルとエリカ

沈黙が少し続くと、ビオルが喋り出した。自分のこと、仲間のことなど、ゆるい話を続けた

時間が大分すぎたあと、エリカが口を開く

エリカ「私は、あまり目つきが良くなくて、真顔で相手を見ると、機嫌が悪いと勘違いされていました。それで元いたパーティの仲間とも仲良くなれませんでした」

<page14>

静かにきくビオル

エリカ「だから笑えばいいんじゃないかって、常に笑うようにしてたら、最初は可愛いって言われていたけど、今度は不気味に思われちゃって。そしたら今度は目に天使が宿っちゃって、うずくなんて言ってたら、とうとうパーティを追い出されちゃったんです」

静かにすまないと言うアーサム

<page15>

エリカ「でも、わかってたんです。自分がもっと明るければ、仕事ができてれば、可愛げがあればこんな目つき関係なくみんなと仲良くできたんじゃないかって。そんな自分が嫌で、それならいっそ全部吹き飛ばそうなんて考えたりして、そんなこと考える自分も嫌で・・・」

エリカから涙が出るそれとともに左目からエネルギーが溢れ出てくる

アーサム「まずい、そろそろ限界か」


<page16>

ビオル「僕はエリカと今日初めて会ったけど、君がとてもいい人だってわかったよ」

エリカ「え・・・?」

ビオル「だって、今も左目のうずきをおさえているし、僕の目を見ようと頑張っているし」

<page17>

ビオル「この世界には色んな人がいるから、君に対して色んなことを思う人がいるかもしれない。でも、少なくとも僕は君は素敵な人だと思うよ」

エリカ「本当・・・?」

ビオル「それに、笑ってなくても君の顔はかわいいと思う」

エリカの左目からエネルギーが溢れてくる

<page18>

ビオル「正面から見るともっと素敵だと思うんだ。だから、僕の目を見てほしい」

エリカ「・・・ムリッ!」

ビオル「どうして?」

<page19>

エリカ「・・・好きになるかも」

左目のエネルギーがさらに溢れ出す

ビオル「これから、いろんな人の目を見ていろんな人を好きになると、もっと楽しくなると思うよ」

エリカが意を決して左目をおさえていた手を離す

<page20>

二人が目を合わせる

ビオル「うん、素敵な顔だ」

エリカ「ありがとう」

エリカの左目からビオルの右目に綺麗な光が流れる

<page21>

ビオル「・・・気持ちいい」

ビオルが伸びをする

ビオル「これって何の効果なの?」

アーサム「おそらくマッサージの効果だな」

ビオル「そういうのもあるのか」

アーサム「ランダムだからな」

<page21>

エリカ「ありがとう、目のうずきも良くなりました」

ビオル「よかった」

エリカ「あと、もうひとつお願いが・・・」

⚪︎酒場のテーブルに座るドス、メイ、ギルツ

<page22>

ドス「遅いな、ビオル。早く練習した手品を見せてやりたいぞ」

ギルツ「俺もこの絶妙なバランスで積み上げた石を見せたいぜ!てゆーかメイ、お前一緒じゃなかったのか」

肉を頬張るメイ

メイ「それが私が肉を取っている間に、なんか女の子と一緒にいたのよね」

ギルツ「どういうこと?」

3人の前に緊張するエリカとともに現れるビオル

ビオル「ごめんみんなお待たせ。ちょっと紹介したい人がいるんだけど・・・」

<page22>

驚くメイ、ドス、ギルツ

メイ「ビオルが、」

ドス「自分の帰還祝いの席に、」

ギルツ「まさかの、」

<page23>

ギルツ、ドス、メイ「彼女を連れてきた!」
事情を知ったメイ、ドス、ギルツはエリカを仲間に入れることにする。

その後も、翼を持つ者や、あらゆるガスや匂いを呼吸分だけ口から出せる者など天使を宿した様々な人と出会い、仲良くなっていくビオル。

そんな中、天使と敵対しているという魔王の手下の魔物によってメイ、ドス、ギルツが連れていかれてしまう。

ビオルは天使を宿した者たちの力を借りて魔王の要塞へと潜入する。ビオルたちは協力して敵を倒しメイ、ギルツ、ドスの3人を助けたす。そして最後には魔王をも倒すことに成功する。

その後、爺天使のゆるしを受け、天使は空へと帰っていく。しかし、またすぐにケンカをしたため、また下の世界へとばされてしまいまたしばらくビオルたちの元に宿ることになる。

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