午後からはさくらが現在携わっている企画開発のチーム会議だった。若者向けの新しいドリンク開発のため、集められた社員たちは男性二名、さくらを入れた女性二名の計四名で成り立っている。若者向けのドリンクと言うこともあり、このチームの平均年齢は二十代と若い。
 チームリーダーを任されている男性社員の(やま)(ぐち)がいちばんの年長で、それでも二十七歳なのだ。
「次に()()るドリンクだが、どんなものがあると思う?」
 ミーティングが始まると、山口は単刀直入にみんなに切り出した。
「タピオカを超えるもの、ですよね……」
 チームメンバーの一人の女性がおずおずと口にする。
「飲んで、食感も楽しめる! って言うのはもう古いよなぁ……」
 山口ではない男性社員もそう言った。
「前田さんは、何かない?」
 山口に指名されたさくらは、
「限定ものは、日本人の弱点の一つであると思います」
 そう答えた。
 限定品であること、それに加え、季節ものを取り入れた飲み物はどうか、とさくらは山口に提案する。
「なるほどな。確かに、コンビニ限定とかあると、ついつい手が伸びるもんな」
 山口は感心したように(うなず)いていた。