そうして二人は再び同じ時間を過ごすのだった。
　料理が揃(そろ)ったところで、
「あの、前田さん……」
　雄哉が不安そうな声を上げた。
「俺といるの、楽しくないですか？」
「えっ？」
　急な言葉に驚いたのはさくらだった。
「いやっ！　そのっ！　深い意味は全くないんです！　すみません……」
　何だか落ち込んでいる様子の雄哉に、さくらはかける言葉を探す。しかし気の利いた言葉が全く思いつかず、
「すみません……。私、感情があまり表に出ないみたいですね」
「そんなことはないです！　ただ、ちょっと、前回あんな去り方をしてしまって、連絡もなかったので……。俺、嫌われてるかな？　って……」
　雄哉はさくらから連絡が来なかったことを気にしているようだった。
　今回、一緒に昼食を摂(と)ってくれるのも、近藤がさくらに勧めたからだと思っているようだった。さくらは再び、連絡ができなかった理由を探したのだが、結局、
「ごめんなさい……。連絡をするのを忘れていました……」
　正直にそう答えた。
　その言葉に、雄哉は目を丸くする。