そう言って雄哉を迎え入れた。
 さくらの姿を認めた雄哉の顔から少し緊張が取れたような気がした。

 コンコンコン……

「失礼します。山下様、お見えになりました」
「あぁ、じゃあ例の会議室で準備をしておいてくれ」
「承知致しました」
 さくらは近藤に雄哉の来客を告げ、雄哉を打ち合わせのある個室へと案内する。
「今日は私も同席することになりました」
「そうなんですかっ? いやぁ、前田さんが一緒だと心強いなぁ!」
 雄哉は(うれ)しそうにそう言っているものの、顔は緊張からかこわばっている。
「山下さんなら、近藤さんも信頼していますから、きっと大丈夫ですよ」
 さくらは緊張している雄哉にそう声をかけると、資料の準備に取りかかった。
 それから程なくして近藤が個室に現れる。
 三人は真剣な面持ちで今回の打ち合わせに臨むのだった。
 打ち合わせが終わったのは十二時を少し過ぎた頃だった。
「昼休憩の時間だな。山下くん、今回も素晴らしいプレゼンだった。前田くん、山下くんと是非、お昼を一緒に()りたまえ」
「近藤さんは?」
「私はこの後、少しやることが残っているから。じゃあ、後は頼んだよ」
 打ち合わせが終わった後、近藤はさっさと荷物をまとめると個室を出て行ってしまった。