さくらはジェスチャーでサラリーマンに名刺を渡すように促す。サラリーマンもすぐにその意味を察したようで、さくらに慌てて名刺を手渡した。
(山下、雄哉……)
さくらは雄哉から渡された名刺を見て、すぐに雄哉が近藤に会いたがっている旨を伝えた。近藤は、
「少し待って貰うかもしれないが、山下くんを連れてきなさい」
そう言って電話を切った。
一連のさくらの様子をハラハラしたように見守っていた雄哉に、さくらは受付嬢へと彼の対応を任せるように伝えると、
「山下さん、ついてきてください」
そう言ってエントランスに背を向けた。
「あっ! 待ってください! せめてお名前だけでも……」
「あぁ、失礼しました」
さくらはそう言うと、パンツスーツのポケットから自分の名刺を取り出し雄哉に渡した。
「では、ついてきてください」
「はっ、はい!」
雄哉は緊張したような面持ちでさくらの背中を追った。
さくらは広い社内をスタスタと歩く。
雄哉はその後ろを、物珍しいものを見るようにキョロキョロと辺りを見ながらついてきていた。
「いやぁ、前田さんのお陰で命拾いしましたぁ! 俺、今日が初めての仕事なんですよ!」
雄哉はさくらの背に向けて話しかける。
さくらは、
(山下、雄哉……)
さくらは雄哉から渡された名刺を見て、すぐに雄哉が近藤に会いたがっている旨を伝えた。近藤は、
「少し待って貰うかもしれないが、山下くんを連れてきなさい」
そう言って電話を切った。
一連のさくらの様子をハラハラしたように見守っていた雄哉に、さくらは受付嬢へと彼の対応を任せるように伝えると、
「山下さん、ついてきてください」
そう言ってエントランスに背を向けた。
「あっ! 待ってください! せめてお名前だけでも……」
「あぁ、失礼しました」
さくらはそう言うと、パンツスーツのポケットから自分の名刺を取り出し雄哉に渡した。
「では、ついてきてください」
「はっ、はい!」
雄哉は緊張したような面持ちでさくらの背中を追った。
さくらは広い社内をスタスタと歩く。
雄哉はその後ろを、物珍しいものを見るようにキョロキョロと辺りを見ながらついてきていた。
「いやぁ、前田さんのお陰で命拾いしましたぁ! 俺、今日が初めての仕事なんですよ!」
雄哉はさくらの背に向けて話しかける。
さくらは、