髪を切ったことにより、さくらの魅力はより高まってしまった。
 大学在学中に告白された数は数え切れない。
 中にはしつこい人もいたのだが、さくらは断固としてその気持ちを受け入れることはなく、拒絶し続けたのだった。
 そうして就活を迎えることになった。
 さくらはこの就活の時期を必死になって過ごしていた。ここで仕事を決めなくては、一人で生きていくことなど到底無理だと思っていたからだ。
 級友たちの中にはもちろんカップルもいっぱい誕生しており、中には、
「卒業したら、彼のところに永久就職するの」
 と、幸せそうに話している人もいた。
 さくらはそんな級友に冷たい視線を投げかける。
(そんな甘い考えで、やっていけるほど人生は甘くないんだから……)
 さくらは誰にも頼らない生き方を選び、そして就活に励んだ。結果、地元の中では大手に入る企業から内定を(もら)うことになったのだ。
 内定を貰ったさくらは喜びと共に気が引き締まる思いだった。
 この会社でいかに自分が仕事をし、認めて貰えるかで、この先の人生が左右されると思ったからだ。
 大学を卒業後、風の(うわさ)で次々と学友たちが入籍し始めた話を耳にした。