大輔が亡くなった直後のことを、さくらはもう覚えていない。菜月が何度もさくらを見舞いに来てくれていたように感じるが、何を話していたのかも、どう接してくれていたのかも、全く覚えていないのだ。
大学受験に関しても、ただ人形のように求められる問いに答え、試験を淡々と進めていたような気がする。
皮肉なことに、この大学受験をさくらは合格することができたのだった。それは大輔が生きていた間に、さくらがコツコツと受験対策を行ってきた結果の表れでもあった。
高校の卒業式、大学の入学式、共にさくらはどうしていたのかあまり記憶がなかった。多分、これらの行事も人形のように求められる行動をしていたのだろう。
これらの期間さくらの胸を占めていたのは、大輔を失った悲しみと、もしかしたら大輔が自分を迎えに来てくれるのではないかと言う、淡い期待だった。しかし大輔が迎えにくることなどはなく、朝を迎えるたびにさくらは絶望を味わうのだった。
大学に入学後、さくらは心理カウンセラーの元、カウンセリングを受けることになった。
「前田さんは、ショッキングな出来事を乗り越えて、我が校にしっかり入学できたのだから、授業にも出て欲しいのが本音なのよ?」
「すみません……」
大学受験に関しても、ただ人形のように求められる問いに答え、試験を淡々と進めていたような気がする。
皮肉なことに、この大学受験をさくらは合格することができたのだった。それは大輔が生きていた間に、さくらがコツコツと受験対策を行ってきた結果の表れでもあった。
高校の卒業式、大学の入学式、共にさくらはどうしていたのかあまり記憶がなかった。多分、これらの行事も人形のように求められる行動をしていたのだろう。
これらの期間さくらの胸を占めていたのは、大輔を失った悲しみと、もしかしたら大輔が自分を迎えに来てくれるのではないかと言う、淡い期待だった。しかし大輔が迎えにくることなどはなく、朝を迎えるたびにさくらは絶望を味わうのだった。
大学に入学後、さくらは心理カウンセラーの元、カウンセリングを受けることになった。
「前田さんは、ショッキングな出来事を乗り越えて、我が校にしっかり入学できたのだから、授業にも出て欲しいのが本音なのよ?」
「すみません……」