「大輔の、お友達？」
　さくらはぎこちなくそのご婦人を振り仰ぐ。それから小さく首を縦に振った。
「そう……。どうぞ、会ってあげてください」
　ご婦人はそう言うと、家の奥へとさくらを案内してくれた。
　さくらは鉛のように重い足取りで後に続く。
　部屋の奥には棺が一つ。
　その棺を取り囲むように喪服姿の人々が溢(あふ)れていた。
　ご婦人は一人の男性に話しかける。
　さくらはその様子をどこか映画を見ているような感覚で眺めていた。
　男性はさくらに気付くと、
「どうも、大輔の父です」
　そう挨拶してくれた。
「前田、さくらです……」
　さくらも挨拶を返す。
「大輔にこんな可愛らしいお嬢さんのお知り合いがいたとは……」
　大輔の父はそう言いながら、棺の方へとさくらを連れて行く。
　棺には小さな窓があり、そこから覗(のぞ)くと眠っている大輔の姿が見て取れた。
「大輔くん……？」
　さくらの呼びかけにも、眠っている棺の中の大輔が目を覚ますことはない。
「このバカ、昨日、バイクで運転中にトラックにはねられて……」
「そんな……！」
　父親の説明に、さくらは顔を上げる。
　それからもう一度、棺の中の大輔に声をかけた。