(そば)には菜月がついていてくれた。
「さくら、大丈夫?」
 菜月の言葉に、さくらは先程の緊急集会で聞いたことを菜月に確認する。
「なっちゃん、大輔くん、死んだの……?」
「そう、みたいだね……」
 菜月の声は暗い。
 さくらはその言葉を聞いた瞬間、保健室を飛び出し教室に駆けていた。
(うそ)だよ……! だって、大輔くん、昨日、笑ってたもん!)
 さくらの胸に昨夜の(さい)()に会った(だい)(すけ)の笑顔が去来する。
 さくらは教室に飛び込むと、自分の荷物を持ってすぐに学校を飛び出していた。
 さくらが学校の授業をサボったのは初めてのことだった。
 校門を出てさくらは自分の自宅とは反対方向に坂を上っていく。それは大輔の家に続く道だった。
(大輔くん……! 大輔くん……!)
 さくらは心の中で大輔に呼びかけていた。
 必死に坂を駆け上り、大輔の家の前に辿(たど)()いたさくらは、大輔の家の様子に言葉をなくす。大輔の家は黒幕が垂れ下がっており、それはこの家の誰かが亡くなったことを現していた。
(嘘、だよね……?)
 その様子を見ても、さくらには現実を受けとめることが出来ない。(ぼう)(ぜん)と立っていると、喪服姿のご婦人に声をかけられた。