「さくらが大学卒業するまで、俺、必死に修(しゅ)行(ぎょう)するから。だから、大学卒業したら、俺と結婚してくれない？」
「えっ？」
　まさかの大輔からのプロポーズにさくらが驚く。さくらが見返した大(だい)輔(すけ)の目は冗談でもなんでもなく真剣だった。
「私で、いいの……？」
　さくらは思わず、自信のない返事をしてしまう。そんなさくらに、大輔は真剣な眼(まな)差(ざ)しのまま言った。
「さくらがいいんだ」
　大輔の言葉にさくらの胸が一杯になる。込み上げてくる嬉(うれ)しさは涙となって溢(あふ)れ出(で)てしまった。
「ありがとう……、大輔くん……。うん、私も、大輔くんと一緒にいたい……」
　さくらからの言葉に大輔はホッとしたようにその表情を緩めた。
「良かったぁ～！　さすがに結婚なんて重くて、フラれるかと思ってたよ！」
　大輔はその場の空気を変えるかのように明るい声でそう言う。さくらもその大輔の明るさに釣られて、笑顔を返した。二人の間の空気は、冬の寒さを跳ね返すほど暖かい。
「よっしゃー！　じゃあ、俺、明日からも頑張るから！　さくら！　明日また学校で会おうな！」