「そう、かなぁ……」
 自信がなさそうなさくらの返答に、(だい)(すけ)が笑う。
「なんも思いつかなかった時は、俺と一緒に、生活する?」
「えっ?」
「永久就職ってヤツ? 専業主婦的な?」
「えぇっ?」
 大輔から出てくる言葉に、さくらは目を丸くし、心臓をバクバクと高鳴らせる。そんなさくらの様子に、大輔も面白そうに笑っている。
「別に驚かなくてもいいじゃん? 俺、いつかさくらを嫁にしたいって、本気で思ってるよ?」
「ちょっ! 大輔くんっ!」
 さくらはこれ以上、大輔の口から出てくる言葉を聞いていられずに抗議の声を上げてしまう。顔を真っ赤にして抗議するさくらの様子に、大輔は込み上げてくる(いと)しさを抑えられない。ふっと笑った大輔の表情に、さくらの心臓も高鳴るのだった。
 なんとか志望校の欄を埋めて提出した進路希望調査の紙だったが、二学期のイベントはまだまだ始まったばかりだった。
 授業、テスト、その合間にやってくるのは体育祭と文化祭の準備である。
 めまぐるしく変化し、過ぎ去っていく日々の中でも、さくらは大輔との思い出を重ねていく。
 何気ない日常会話から、一緒に回った文化祭、声が()れるまで応援した体育祭。
 その一つ一つが全て、大事な大輔との思い出になっていく。