二学期が始まるとすぐに進路希望調査が開始された。
 さくらは漠然と進学希望ではあったが、本格的に志望校を聞かれると答えに窮してしまう。
(そもそも、私は何が学びたいんだろう?)
 夏休み、さくらはがむしゃらに夏期講習に通い、学校の課題に追われながらも勉強をしてきた。それは大学進学に必要なことだと分かっていたから、あの猛暑の中を耐えて毎日学校へと通えたのだ。
 しかし、その漠然とした進学希望を具体化させよ、となると、さくらも頭を抱えるのだった。
「だーっ! 進路希望調査、めんどくせぇっ!」
 その日の帰り道。
 さくらの隣を歩いている大輔が頭をわしゃわしゃとかきむしりながら叫んでいた。
 それはさくらも同様に感じていたことだったため、思わず笑ってしまう。
「大輔くんは、就職希望だよね? 地元の企業にやっぱり就職するの?」
「あー……、あんまり考えてねーんだよなぁ。俺みたいなヤツ、雇ってくれるとこがあればどこでもいいっつーか……」
 さくらからの言葉に大輔は空を見上げながら応える。
 大輔もさくらも、自信がないのだ。
 だからどうしても受け身の体勢を取ってしまい、大輔に至っては毎度、履歴書にある自己アピールの欄をどうしたものかと悩み、頭を抱えている。