「松本くん……、タバコはやっぱり、吸う場所も限られてくるし、喫煙所には先生もいると思うから、やっぱり持ってくるのは無理なんじゃないかなぁ……」
 さくらは菜月と大輔の笑いが収まった頃、そう大輔に伝えた。
 大輔は一瞬、さくらから何を言われたのか分からなかったようで、きょとんとしていたのだが、
「前田さん、ガチレスじゃん……」
 (ほう)けたようにそう言う。さくらはそこで、自分が今、変なことを口走ってしまったのかと焦ったのだが、
「スゲェ! 前田さん、めっちゃ真面目! 分かった! 確かに、その辺で吸うのはかっこ悪いもんな!」
 大輔は目から(うろこ)だったようで、目を輝かせながら勢いよくそう言った。
(この人、意外と純粋……?)
 その反応を見たさくらはそう感じるのだった。
 オリエンテーション当日。
 学校に集まった生徒たちはバスで遊園地へと向かった。そうして遊園地到着後、
「じゃ、(おの)(おの)で楽しめ!」
 先生のこの言葉で解散となる。
 さくらたちの班も他の班と同様、最初に何に乗ろうかとキョロキョロ辺りを見回していた。
「やっぱ、ここはジェットコースターからっしょ!」