瑠奈の人生は、十六歳で終わる。予知夢のとおりに。ただ、予定が少しズレただけ──。

 でも、できることなら、その予定をもう少しだけズラしてはもらえないだろうか。

 ツキヒトに向かって手を伸ばした瑠奈に、彼が無表情でナイフを振り上げた。目の前で、それがギラッと鈍い輝きを放つ。

 その光景を、瑠奈はいつかの夢で見たような気がした。

fin.