たとえ顔の見えないSNS上の交流でも、ツキヒトとのやりとりは瑠奈にとって意味のあるものだった。

 予知夢を見ているという秘密を打ち明けた瑠奈を励ましてくれたツキヒトに「直接会いたい」と言われて、最後には瑠奈も彼に「会ってみたい」と思ってしまった。

 一生踏み入れることなどないと思っていたオシャレなカフェで、ツキヒトと一緒に過ごした時間を幸せだと感じてしまった。ツキヒトに優しい笑顔を向けられて、これからも彼と一緒にいられる未来を期待してしまった。

 そう。期待したのだ。ツキヒトとならリアルの友人として、いやもしかしたらそれ以上の存在として、心から繋がっていけるのではないかと。

 きっと瑠奈は、心のどこかでずっと羨ましかった。クラスメートのカナミや、通りすがりに瑠奈の投稿写真に「いいね!」をくれる人たちが。オシャレなカフェで誰かと会って、見た目の可愛いスイーツを食べながら幸せな気持ちに浸れることが。

 ツキヒトとの出会いが、彼と過ごした半日が、瑠奈にそのことを気付かせてくれた。でも、それはもう、瑠奈には手に入れることのできない夢だ。