誕生日が一週間後に迫ると、瑠奈はふとした瞬間に背後から誰かに襲いかかられるような気配を感じるようになった。外にいるのは怖くて家に引きこもるようになったが、どこにいても落ち着かない。
家にいれば交通事故にも遭わないし、誰かに高い場所から突き落とされることも、刺されることもない。最初はそう思ったが、誕生日が一日、一日と迫るにつれて、家も安全ではないのではないかと感じ始めた。
瑠奈は、予知夢の中で自分の命を奪う相手の正体を見たことがない。家にこもっていても、強盗が押し入ってきて瑠奈を刺し殺してしまうかもしれないし、放火犯に家ごと燃やされるかもしれない。もしかしたら、魔が刺した両親のどちらかの手にかかる……、という最悪な可能性もある。
考えれば考えるほど、安全な場所なんてどこにもない気がしたし、何もかもが疑わしくて信じられない。十六歳の誕生日に死ぬ運命は変えられないのだと、瑠奈はますます絶望的な気持ちになった。
もともと食は細かったが、さらに食欲は減退し、眠りも浅くなった。