『死ぬって、瑠奈ちゃん、病気なの?』
ツキヒトからのメッセージが返ってきたのは、瑠奈がメッセージを送った二十分もあとだった。
突然の瑠奈からの告白に戸惑ったのだろう。随分と時間をあけてから返ってきたメッセージは、短くてシンプルだった。
瑠奈は、信じてもらえないことも覚悟の上で、ツキヒトに予知夢のことを伝えた。
物心ついた頃から、定期的に同じ類の夢を見ること。それは十六歳の誕生日を迎えた自分が死ぬ夢で、自殺ではなく何者かの手によって命を奪われること。そして、運命の十六歳の誕生日が二週間後に迫っていること。
瑠奈の説明にわからない部分があると、ツキヒトはいちいち細かく質問をしてきた。ツキヒトから返ってくる反応を見て、瑠奈は彼が自分の話を信じようとしてくれていることがわかった。
『今まで誰にも言えなかった秘密を打ち明けてくれてありがとう。ルナちゃんは、ずっとひとりで悲しい思いをしてきたんだね』
抱えていた秘密を全て打ち明け終えたあと、ツキヒトは瑠奈にそんな言葉を返してくれた。
『ルナちゃんがずっと信じて悩んできたことを否定するのは気がひけるけど、俺はやっぱり、予知夢なんてあまり現実的ではないと思う。よくある予知夢の話だって、それに似たような事象が起きたあとに誰かがこじつけしてるだけで、昔の予言者が予知したって言われてることもはずれてることはたくさんある。ルナちゃんは、十六歳で死んだりしないよ。もしかしたら、小さな頃に見た怖い夢の記憶が間違って脳に刷り込まれているのかもしれない』
続けて、ツキヒトが予知夢の存在をやんわりと否定してくる。