瑠奈とツキヒトがDMで話す内容は、主に写真のことだった。
ツキヒトがSNSに投稿している写真はほとんど一眼レフで撮られたものだ。けれどツキヒトは、スマホカメラの扱いについても熟知していて、魅せる写真を撮るための細かな設定方法や、写真の色合いが鮮やかになる加工の方法など、瑠奈に役立つ知識をいろいろと教えてくれた。その知識を使っていろいろと試し撮りしてみるうちに、瑠奈も以前より情緒的な写真が撮れるようになった。
写真撮影の技術以外にも、ツキヒトは空で起こる自然現象のこともいろいろ教えてくれた。
虹色に光る雲のことや、四角い太陽が見られる場所があることなど。ツキヒトが教えてくれる話は面白く、ついつい夜遅くまでDMのやり取りを続けてしまうこともあった。
これまでの瑠奈は、勉強したり新しい知識を得ることにあまり興味がなかった。
どうせ十六歳になれば死んでしまうのだから、新しい知識を得ることは無意味だと思っていた。
だが、ツキヒトと交流を持つようになってから、瑠奈はたとえ無意味なことでも知りたい。知らないことを知るのは楽しい。そう思うようになった。