「ジークハルト様、ひとまず今回の舞踏会でランクアップを目指しましょう」
「ランクアップ?」
「つまりレベルを上げるんです。場数を踏めば、耐性も付きます」

 エリザが断言すると、ジークハルトが「場数……」と口の中で反芻した。ルディオは賛成のようで、乗り気になって椅子に座り直す。

「いいね。それで、ミッションは?」

 楽しんでんじゃないよ……とエリザは思った。

 これまで、ジークハルトのフォローとサポートに悩まされていたせいだろう。一人きりでのフォローから解放されて、随分肩の荷が降りたらしい。

「まぁ、ますは婚約者候補の方とは必ず接触してもらいます」

 そう告げると、ジークハルトの顔から血の気が引いた。

 想像するだけで震えが起こるのも、すごいかもしれない。

 エリザは冷静に分析してしまった。ルディオが「それが課題になるだろうな」と同意して、椅子の背もたれに寄りかかる。