「……まぁ、そうだね。彼にも苦労をかけている。【赤い魔法使い】が次の治療係になったと噂になっているから、君にも迷惑はかけてしまうかもしれないが……」

 つまり注目される可能性がある、ということだろう。

 厄介ではあるが、一時的なものだと思えば気も軽いかもしれない。エリザ自身は注目を受けるような人物ではない。

(魔法使いだと、勘違いされているのがそもそもの原因)

 しかし魔物が滅してしまう現象に関しては、恐らくは聖女である母の影響だ。

 聖女、だなんて口にしたら厄介そうなので『魔法使い』のままの方が都合がいい。

「まぁ、あの、気になさらないでください」

 つい考え込んでしまっていたエリザは、申し訳なさそうな公爵の視線に気付いて姿勢を戻した。

「つまり従者のように同行し、舞踏会でフォローすればいいわけですよね? グーシハルト様にとっても良い機会だと思います。少々強い指導を入れないと治りそうにはない、長期戦的なものであるとは考えていますから」