「ジークも、社交ができないわけではないのだよ。女性への配慮だって理解はしているし、愛想よくもできる。ただ、女性と一対一だと十分以上は厳しい」
「十分……ですか」

 呆れた声がこぼれた。

 とはいえ、あそこまで女性が苦手な彼にしてはと褒めるべきだろう。十九歳の現在まで、女性恐怖症だと知られないまま社交義務もこなしている。

「頑張れば、いや触ったりしなければ震えと蕁麻疹が出ないようにはできる、か……」

 それなら行けるかもしれない、と前向きに考える。

(慣れれば問題ない気がする。これはもう、荒治療でぐいぐい行くしかないな)

 その一方で、ラドフォード公爵は不安そうな表情で続けた。

「君には舞踏会でジークが彼女達と話せるよう、治療係として活動をサポートして欲しいと思っている」
「普段は、ルディオがやっている?」

 好奇心もあって確認してみると、彼がちょっと間を置く。