確かに女の子ではあるようだが、改めてまじまじと見てもそう分からない。

 エリザは、女性恐怖症である彼の女性探知能力の凄まじさを実感した。治療係をして大丈夫なのか不安になる。

 その時、ジークハルトの肌に、徐々に小さな赤い斑点が浮かび始めるのが見えた。

(あっ、蕁麻疹が出るのは本当だったんだ……)

 鳥肌を鎮めるみたいに腕をさすり出した彼の肩が、小さく震え出した。恐怖心からくるものだと感じてハッとする。

「大丈夫ですよ、私がいますから」

 かわいそうになって、安心させるように声をかけた。

 すると、彼の震えが不意に収まった。それを見たサジが、珍しいものを目撃したと言わんばかりに顎を大きく撫でる。

「長年の幼馴染であるルディオ坊やの声しか聞かなかったのに、会って二回目ですげぇ信用されてるんだな。さすが強い魔法使い様だ」

 事実は魔法使いではないので、なんだかそわそわした。

「『魔法使い様』と呼ばなくてもいいですよ」