(まさか。いや、まさかそんな……)
そう思っている間に、青年が大きな箱を抱えて「失礼しまーす」と入って来た。
するとすれ違う直前、青年の足がもつれて、箱を抱え持った肘先がジークハルトの腕に触れた。
その瞬間、ジークハルトが「ひぃ!」と情けない声を上げて飛び上がった。無駄のない身のこなしで距離を置くさまは、さすが鍛えられた騎士だと感じた。
「なっ、な、なんで女性が……!」
ショックが強いのか、ジークハルトの言葉は続かなかった。
その言葉を聞いたエリゼも、びっくりしていた。
「この子は、行きつけの煙草屋の店員なんですよ、坊ちゃん」
サジが面倒そうに頭をかきながら、悪びれる様子もなく答えた。
「俺ぁ、男から商品を買いたくねぇんです」
「だ、だからってどうして女性が男性の恰好を!?」
「女の子達から人気があるんですよ。女性劇団の男役で活躍しているんです」
サジから紹介された青年、――いや男装の麗人は、「自信があったのにな」と残念そうに微笑んだ。
そう思っている間に、青年が大きな箱を抱えて「失礼しまーす」と入って来た。
するとすれ違う直前、青年の足がもつれて、箱を抱え持った肘先がジークハルトの腕に触れた。
その瞬間、ジークハルトが「ひぃ!」と情けない声を上げて飛び上がった。無駄のない身のこなしで距離を置くさまは、さすが鍛えられた騎士だと感じた。
「なっ、な、なんで女性が……!」
ショックが強いのか、ジークハルトの言葉は続かなかった。
その言葉を聞いたエリゼも、びっくりしていた。
「この子は、行きつけの煙草屋の店員なんですよ、坊ちゃん」
サジが面倒そうに頭をかきながら、悪びれる様子もなく答えた。
「俺ぁ、男から商品を買いたくねぇんです」
「だ、だからってどうして女性が男性の恰好を!?」
「女の子達から人気があるんですよ。女性劇団の男役で活躍しているんです」
サジから紹介された青年、――いや男装の麗人は、「自信があったのにな」と残念そうに微笑んだ。