部屋に荷物を仕分け、書斎室でラドフォード公爵と報告までの流れを話し合ったのち、セバスチャンに申し訳なさそうに告げられた。

 前向きであると聞いていただけに、早々に人見知りを発動されるとは思っていなかった。

「私、やはり彼の治療係としてはだめなのでは――」
「いいえ、そうではないのです」

 セバスチャンがやんわりと否定した。

「先日のエリオ様のお話をお聞きになられた旦那様が、少しでも協力をしようと、まずは症状を確認するために何人か手配し、案内する先々に用意しているのです」

 それを聞いて、エリザは悟りを得たように遠い目をした。

「ああ、つまり罠に嵌められる気配を本能的に感じている、と」

 すると、セバスチャンが「恐らくは」と控えめに肯定した。

 帰宅してきたジークハルトは、「女性の気配が増えているような気がする」と不安をこぼし、真っすぐ私室に閉じこもってしまっているのだという。

「ルディオは――仕事でしたっけ」