「あの子も珍しく前向きなんだ」
「ジークハルト様が?」
「そう。私としてもね、最後の頼みの綱である君のような素晴らしい魔法使い、報告書の事務仕事も優柔な治療係を逃したくはない」
後半が本音かな、とエリザは勘ぐった。
「昨日も、勤務が怖いくらいスムーズだったとも報告を受けていてね。ぜひ君に頼みたいという意見もいただいている」
その意見は誰から、と訊くのは怖くてできなかった。
ジークハルトは、王宮の近衛騎士だ。公爵本人が『いただいている』と言う身分の人間といえば、数が限られる。
ルディオが愚痴を聞いてくれと頼んできたのも、そのせいなのではと推測される。
(うん。これは、回避しよう)
彼から話を聞いていても面倒そうだと思っていた。
ここは断っておきたい。
「ジークハルト様が?」
「そう。私としてもね、最後の頼みの綱である君のような素晴らしい魔法使い、報告書の事務仕事も優柔な治療係を逃したくはない」
後半が本音かな、とエリザは勘ぐった。
「昨日も、勤務が怖いくらいスムーズだったとも報告を受けていてね。ぜひ君に頼みたいという意見もいただいている」
その意見は誰から、と訊くのは怖くてできなかった。
ジークハルトは、王宮の近衛騎士だ。公爵本人が『いただいている』と言う身分の人間といえば、数が限られる。
ルディオが愚痴を聞いてくれと頼んできたのも、そのせいなのではと推測される。
(うん。これは、回避しよう)
彼から話を聞いていても面倒そうだと思っていた。
ここは断っておきたい。