ルディオが見送りのために立ち上がる。

 入れ違いでセバスチャンが入室するのを見つつ、エリザはルディオと共に部屋を出た。

「やっぱり俺の勘は正しかったなぁ。初対面でジークが拒絶しなかった治療係って、お前が初めてだぜ」

 二階の廊下を歩きながら、ルディオが緊張もほぐれた様子で頭の後ろに手を組む。

 そう言われて初めて、エリザは面談も危険だったと勘ぐった。

 クッキーを持ってきたセバスチャンが笑顔だったのは、第一印象は良好だったようだと満足したからだろう。

「……一応訊いておくけど、他の人はどうなったの?」
「大抵は話してもらえないし、十分も待たずに部屋を追い出される。しつこく聞き出そうとする奴には力づくで、という暴挙に出るな」

 そういったことは、前もって警告して欲しかった。

 まるで嵌められたようじゃないかと、エリザは憮然と唇を引き結んだのだった。