エリザは素人であるので、詳細に分析と治療方法を導き出すのは難しい。

 精神的な問題であれば、その手の専門家に消化しきれていない記憶をどうにかしてもらう方が早いと思う。

 好奇心の強い彼女としては、ふと、男と思われている状態で触ったら無意識に耐性がついたりしないかな、と素人的な方法が脳裏をよぎった。

「蕁麻疹は、全ての女性に対して発症するのですか?」

 紅茶カップを持ち上げつつ、質問だけしてみた。

 するとジークハルトが、頼りなさそうな声で「はい」と小さく言った。

「その、お恥ずかしい話しなのですが……従姉妹であろうと出てしまいます」

 オーケー、これは触らない方が絶対に良い。

 男だと思われていようが、ダメな気がする。エリザは自己完結して、不作法にも紅茶をぐいーっと豪快に飲み干した。

(面談は、三十分くいらだと公爵様と決めていたっけ)

 ふと、先日の打ち合わせを思い出す。