そう思いながら、三脚用意された椅子の一つに腰かけた。

 美しい円卓を挟んで、ジークハルトが向かいに腰を下ろした。間の椅子にルディオが続く中、ちらちらとエリザを見てきた。

(なんだろう……警戒は抱かれてないみたいだけど)

 どちらかといえば、子犬が初めて見る人を見ている感じがある。

 すると、タイミング良くセバスチャンがティーセットを運んで来た。テーブルに三つ紅茶を置くと、彼は表情を崩さないまま転がった扉を踏み越えて出ていった。

「エリオ、蜂蜜は要るか?」

 気をほぐそうとしたのか、ルディオが先に紅茶へ手を付けながら言った。

「そうだね。少しだけ頂こうかな」

 蜂蜜は高価なものだ。少し糖分を摂取しておこうと考え、久しぶりにそれを入れる。

 その慣れたようなやりとりで友人同士だと納得してくれたのだろうか。

 ジークハルトが肩からゆっくりと力を抜いた。砂糖も蜂蜜もなしで紅茶を口した。

「プライベートなご事情ですし、私は事前に詳細は聞いていません。どうして女性が怖いのか、改めてこの場でお話いただくことは可能ですか?」