「待って。ジークハルト様って初めてなんですよね? なんでそう考えれるのっ」
「初めて誰かを欲しくなったから、ではないですかね」

 彼が再び、エリザをぎゅぅっと抱き締めてきた。

「こんな気持ち初めてなんです。エリザを独り占めしたいし、抱き締めたい。ずっと話していたいし、キスだってもっといっぱいしたいです」

 次に次に言われて、エリザは彼の腕の中で真っ赤になってしまった。

(こ、この人……素直すぎない?)

 たぶん、思っていることを正直に全部話している気がする。

 先程まで話していたフィサリウスと違って、遠回しなどが彼の場合は一切ないのだ。

「俺はあなたが好きです。呪いが解ける日が待ち遠しくて、嬉しくてつい、既成事実に走ろうとしましたが」
「それは絶対にやめてくださいね、絶対に」

 エリザは瞬時に、二度、念押しした。

「健全な男なんです、あれは普通の反応かと」
「どうだろ、私は女の子だからちょっと分からない、かも……?」
「もちろんあんなこともうしませんよ。する時は、エリザの許可を取ってからにします」
「私、結婚前にはしないと決めています」

 強めに言ったら、ジークハルトの身体が笑い声と共に小さく揺れた。