「まぁ……そうですね」

 今日、ジークハルトは通常通り仕事が入っていた。

 エリザのところへ行き、そのうえ騒ぎを起こし、それでいて使用人たちに連れられたあともひと悶着あったようで、出発まで遅れてしまったのだ。

 王宮に到着したら、勝手知ったる職場だったのでルディオが引っ張って、走っていってくれて助かった。

 そのあとエリザは予定通り、フィサリウスに〝治療〟のことを報告した。

 彼は今から公務が入っており、入れ違いで軍事会議からジークハルトがこちらへやってくる予定だ。

「私がするのは、指輪の説明だけだよ」
「そういえば、なんで取れたんでしょうか?」

 いまだ返してもらっていない【怪力の指輪】をエリザは思い出す。

「君が以前話してくれた内容からすると、恐らくは、君を絶対に守ってくれる、君にとってもっとも安心できる人物には取れる仕組みだったのだと思う。そうすると、他にも別の機能が備わっていそうだ」
「機能、ですか……?」