気の弱そうな庭師が、促すようにしてルディオの腕をつついた。彼はエリザの方を指差され、何かに気づいたみたいに『この手でいくか』という顔で一同に頷いて見せると、ジークハルトに人差し指を突き付けた。

「そもそも親友であるお前が少年趣味に走ったとは、嘆かわしいぞジーク!」
「……少年趣味?」
「なんで呪いが解けてすぐエリオを襲いに行くんだよ! アホかっ!」
「問題ないじゃないですか、エリオは女性なのですから」

 きょんとしたジークハルトの口から、その言葉が出た瞬間、室内が静まり返った。

 ルディオも、彼に指を向けたまましばし硬直する。

「やっぱり気付いてやがったか」

 サジが手で顔を覆って、深い溜息を吐く。

「まぁ、殿下に〝あの申請〟もしていましたし、ほぼそうだとは思っていましたが」

 セバスチャンがちらりと目を向けると、「性別を確認されないまま私も頼まれたから察してた……」とラドフォード公爵も、頭を抱える始末だ。

「……え、え?」

 エリザは頭の中が真っ白になって、もう困惑までピークだった。

 すると彼女の疑問を代弁するように、そばかすの浮いた可愛らしいメイドが「あの」と挙手した。