さすがのサジも、フォローに回れないようだ。床に転がるジークハルトを呆れたように眺めて「ジーク坊ちゃん」と馴染みがあるような言い方をした。
「気持ちは分からんでもないが、既成事実はやめとけって。手順を踏んで、まずは婚約からであって――」
「親友のそういう腹黒い事情は知りたくなかったああああ!」
ルディオが、たまらなくなった様子でサジの台詞を遮るように叫んだ。一度顔を両手に押しつけたかと思うと、やっぱり我慢できなかったみたいでジークハルトへツカツカと歩み寄り、頭を容赦なく殴った。
「いたっ」
「お前なんつうことしようとしてんだよ! エリオは俺の大事な友達でもあるんだぞ! ばかかっ! 見損なったぞっ、アホ!」
仁王立ちになりルディオは涙目で叱る。そこに座り込んでいるジークハルトは、不服そうにすねた表情をしていた。
その時、エリザは開かれた扉にラドフォード公爵がいることに気付いた。
彼は額を手で押さえていたのだが、寝室に進もうとしたところでよろけ、それを見たセバスチャンが「旦那様っ」と慌てて駆け寄り、その身体を支えていた。
「気持ちは分からんでもないが、既成事実はやめとけって。手順を踏んで、まずは婚約からであって――」
「親友のそういう腹黒い事情は知りたくなかったああああ!」
ルディオが、たまらなくなった様子でサジの台詞を遮るように叫んだ。一度顔を両手に押しつけたかと思うと、やっぱり我慢できなかったみたいでジークハルトへツカツカと歩み寄り、頭を容赦なく殴った。
「いたっ」
「お前なんつうことしようとしてんだよ! エリオは俺の大事な友達でもあるんだぞ! ばかかっ! 見損なったぞっ、アホ!」
仁王立ちになりルディオは涙目で叱る。そこに座り込んでいるジークハルトは、不服そうにすねた表情をしていた。
その時、エリザは開かれた扉にラドフォード公爵がいることに気付いた。
彼は額を手で押さえていたのだが、寝室に進もうとしたところでよろけ、それを見たセバスチャンが「旦那様っ」と慌てて駆け寄り、その身体を支えていた。