(どうしよう、何やら傷つけてしまったみたいだ……)

 彼が自分より一つ年上の、十九歳の男性なのは分かっているのだが、昨日までの様子のせいで弟か子供を泣かしたような罪悪感がある。

「本当にそう思っていますか?」
「もちろんですよ。急に子供っぽくなって人の目も構わず甘えてきて、あれだと問題になります。私がどれくらい心配したと思っているんですか」
「ああ、それはすみませんでした。あれはからかい過ぎたと反省しています。勘違いだと、ひどいことを言うものですから」
「……はい?」

 気のせいだろうか。

 一瞬、あの幼児精神は〝ふり〟だと言われたように感じたのだが――

「あなたの勘違いの元はなくなりましたし、大人心しか残っていない今の俺なら、もう問題ないですよね?」

 問題とは、何が、とエリザは思った。

 だが過ぎったその思いは口にできなかった。彼の手が肩を掴んだ思ったら、視界が回って、ぼすんっとベッドに押し倒されていた。