(うん、ちっとも疑っている感じがない)

 胸をやや抑えてくれる厚手の肌着を、普段からシャツの内側に着用していたのがよかったのだろうか。

 戦闘となった時、邪魔になるから便利な専用の肌着なのだ。

 とはいえ、自分に魅力がないのは分かっている。胸の膨らみ云々が見えない横向きの姿勢でエリザのシャツ姿を見ても、彼がまったく女性だと疑わなかった、というわけだろう。

(…………つまり、セーフ?)

 まだ残されている治療係の仕事は、できるということか。

 エリザは前向きに考えることにする。

「分かりました。とにかく起きますから、先に自室に戻っていただけますか? すぐに伺いますから」

 とにかく、この状況を変えようと思った。扉の方を指差したら、ジークハルトが少し悲しそうな顔をした。

 ギョッとしたら、彼がその顔をずいっと近づけてくる。

「子供心が残っている方がよかったですか?」
「いや、そういう意味ではないんですよ。治ってよかったですよ」

 エリザは片腕で掛け布団を抱き寄せたまま、慌ててジークハルトの頭を手で撫でて慰めた。