それはひどく優しげな笑みだったが、エリザは背中が何やらぞくっとした。
目の前にいるのは女性に無害なヘタレ野郎のはずなのに、なぜ肉食獣を前にしたような威圧感も覚えているのだろう?
「……あの、そもそも呪いは解けたんですよね?」
「そうだと思いますよ。確かめさせるのは怖くはありましたが、モニカに腕をつついてもらっても蕁麻疹は出ませんでしたから」
言いながら彼が向かいに座る。心の底から信頼しきったように、蕩けるような微笑みを浮かべた。
「エリオ」
艶のかかった声は、腰に響く甘さがあった。
エリザは、なぜだか本能的な危機感を覚えて身を引いた。
おかしい。呪いが解けているはずなのに、変わらないこの慕いっぷりはなんだろうか。しかも異性であるはずのエリザに、以前と変わらず本能的に『女性だ』と感じているような素振り一つないのも、危ない気がする。
(うん、なんか、私の本能が逃げろと言っている気がするんだよね……)
けれど残念なことに、ベッドは片方が壁にくっついている。開けたもう片方にはジークハルトが座り込んでいて、彼を倒さない限り出られない。
目の前にいるのは女性に無害なヘタレ野郎のはずなのに、なぜ肉食獣を前にしたような威圧感も覚えているのだろう?
「……あの、そもそも呪いは解けたんですよね?」
「そうだと思いますよ。確かめさせるのは怖くはありましたが、モニカに腕をつついてもらっても蕁麻疹は出ませんでしたから」
言いながら彼が向かいに座る。心の底から信頼しきったように、蕩けるような微笑みを浮かべた。
「エリオ」
艶のかかった声は、腰に響く甘さがあった。
エリザは、なぜだか本能的な危機感を覚えて身を引いた。
おかしい。呪いが解けているはずなのに、変わらないこの慕いっぷりはなんだろうか。しかも異性であるはずのエリザに、以前と変わらず本能的に『女性だ』と感じているような素振り一つないのも、危ない気がする。
(うん、なんか、私の本能が逃げろと言っている気がするんだよね……)
けれど残念なことに、ベッドは片方が壁にくっついている。開けたもう片方にはジークハルトが座り込んでいて、彼を倒さない限り出られない。