「なッ、なななななんでジークハルト様がいらっしゃるんですか!?」

 横向きになってベッドにいたエリザと同じく、向かい側にはこちらへ身体を向けて寝転がっているジークハルトの姿があった。少し上ボタンが開けられた白いシャツ、という恰好からも昨夜就寝を見届けた際の服とは分かる。

 エリザは急速に覚醒して手を奪い返した。

 後退しようとしたが、一人用のベッドは余分なスペースが残っていなかった。

「エリザが来る気配がなかったので、俺が会いにきたんです。ほら、目が覚めたら一番に会いたいと言ったでしょう?」

 確かに、彼は眠る前にそう言っていた。

(言ったけどっ、確かに言っていたけど!)

 そういうことではないのだ。

 エリザはパニックになりかけて、ひとまず距離を取るべく飛び起き、足元に転がっていた掛け布団をシャツの胸元に抱き込んだ。

「だからって、なんで人のベッドに勝手に潜り込むの!」

 きょとんとして腕で身体を起こしたジークハルトが、そこに座り込んだエリザを眺め、ふっと愛おしげに目を細めた。