まるでセバスチャンが『そういうことにしておましょう』というニュアンスで答えてきた。すると、ラドフォード公爵が言う。

「君は明日、殿下にご報告申し上げるのだろう? それなら、しっかり寝なくてはね。もちろん私もジークが早く目覚める可能性を考えて、早く寝るつりなんだよ」

 早朝にジークハルトが目覚めるかもしれない。

 そう推測してみると、確かに報告の件も推敲するとしたら、彼と同じタイミングで就寝するのがよさそうだと思えた。

「分かりました。私も寝ます」

 こくんとエリザが頷いた途端、見守っていた使用人たちが「ほっ……」と息をもらしていた。

 そして間もなく、かなり早い就寝時間がやってきた。

 寝室へと案内したセバスチャンと共に、エリザとルディオも見守る中、ジークハルトがベッドに入った。

「この年齢になって、この時間の就寝を見届けられるのも、なんだか恥ずかしいものですね」

 普段から恥ずかしい甘えっぷりを披露している人が、何を言っているのだろう。