ジークハルトが早い湯浴みをしている間に、エリザはラドフォード公爵達と改めて解呪薬の理解を確認し合った。

 薬が効いている間は、ジークハルトは目が覚めない。

 呪いが完全に消えれば深夜にでも起床する可能性があると使用人達から意見が上がり、彼らが入れ代わり立ち代わり〝監視〟することが決まった。

「待って――『監視』と言いました?」
「失礼。言葉を間違えました」

 困ったような笑顔を張り付かせているラドフォート公爵の後ろで、セバスチャンが涼しげにそう言った。

「でも、それなら治療係の私が扉の前で座り込んで――」
「危険ですよっ」
「それはやめましょう!」

 途端、使用人達でなく、ラドフォード公爵も「それはやめようね」と意見を揃えた。

「え、危険?」
「ベッドに引っぱり込まれたらどうするんだよ――いてっ」

 すぐそこにいたルディオに尋ね返したら、サジに頭を叩かれていた。

「ジークハルト様、そんな寝ぼけが強い人なんですか?」
「まぁ、そうですね」