エリザは、困ったようにモニカへ目を向けた。

「あ、あの、呪いの効能はなくなっても女性がすぐ大丈夫になるかは――」
「ええ、もちろんここにいる全員が頭に入れておりますわ」

 モニカが気づき、安心させるように微笑みかけてきた。まるで可愛くて仕方がないというような笑みだ。

 すると、ジークハルトの様子を穏やかに見つめていたセバスチャンも、エリザへと目を向けてきた。

「使用人総出で、坊ちゃまがよくなるよう協力させていただきます。エリオ様がご心配されることがないよう計らいますので、あなた様は、あなた様がなされることを優先ください」

 つまりこの先、たとえばエリザがいなくなったとしても、という意味だろう。

 エリザはそう受け取った。呪いがなくなってしまえば、ジークハルトにとって自分はきっともう必要ではなくなるから。

「それは心強いです。皆様、どうぞよろしくお願いします」

 深い感謝で、頭を下げた。

 サジが「よしてくれよ、【赤い魔法使い】様」と言った。