(これまでの女性恐怖症への治療で、人間不審にでもなってるのかな……)

 面倒臭い。

 非常に鬱陶しい人物像がエリザの中で、でき上がる。

 するとルディオが「堅苦しくしなくていいからさ」とセバスチャンに言って、彼女の肩を抱き寄せた。

「大丈夫だって、俺は慣れてるし、エリオだってそれくらい気にしないって」
「ちょっと、肩が重いんだけど。身長の差を考えて欲しいなっ」
「というわけで、エリザは俺の方で案内して連れていくから」

 エリザがすぐにでも帰りたくなっていることを察知したのか、ルディオが早速背中を押して歩き出した。

 すれ違うメイド達は、ルディオの姿に気付くと頭を下げてきた。

 慣れないなと思いながら、エリザは彼と共に大きな階段を上がる。

「あの……公爵様もいるんだよね?」

 声を潜めつつ尋ねると、ルディオが頭をかく。