「殿下が指示された魔法薬ですので、ほぼ確実に戸問題は解決するものと思われます。彼はこの国で最高の魔法使いです。直感さえも正しい真理を見抜くと言われています」
「それはすごいですね。それなら、もっと安心です」

 彼が、手をほどきながら首を少し傾ける。

「もっと、とは」
「あなた様が責任をもって調合してくださったのでしょう? ですから、きっと大丈夫だと思いました」

 ハリマがきょとんとして、それからふっと苦笑をもらした。

「あなた様は【赤い魔法使い】という名前までついているのに、面白い魔法使いですね。私も殿下とは懇意にさせていただいていますので、何かありました時には、魔法協会のハリマまでどうぞ」

 退出する彼をメイドが見送りに出たが、エリザは彼の人柄が好きになってしまって、玄関まで一緒に見送った。

 ハリマの助言もあって、この日は早い時間に夕食会が行われることとなった。

 もちろん解呪薬を飲むまで見届けると言って、ルディオも付き合ってくれた。ラドフォード公爵は若い二人との食事も楽しそうだった。