恐る恐る首を回し、ジークハルトにそう提案してみた。

 彼は不思議そうに首をコテンと傾けた。

 その様子が何だか可愛いなと思ってしまう自分は、眩暈がしそうなほどの美形を、治療係についてからの短い期間ですっかり見慣れ過ぎてしまったのだろうか。

(いや、うん、見慣れてはいない)

 じっと見つめ合っていたら、その近さに徐々に心拍数が上がっていくのを感じた。

 たぶん、この姿勢のせいだ。女の子扱いのような錯覚を受けてしまう。

 ジークハルトの真っ直ぐな目を見つめていると、エリザの問い掛けを不思議に思っている感じでもある。どうして、と彼に尋ね返されたらどしようかと彼女は悩んだ。妙なくさぐったさがある、なんて説明し難いことだった。

「いいですよ。分かることができましたから」

 不安に思ったタイミングで、ジークハルトがにっこりと笑いかけてきた。

 今度はエリザの方がきょとんとしてしまう。

「何が分かったんですか?」
「いいところ――いえ、皮膚の感じが分かって」

 皮膚、とエリザは繰り返す。しばし考えたものの意味が不明だった。